企業事例3 日本山村硝子 多角的なサポート体制が“教わる-教える”の連鎖を生む
日本山村硝子では、昨年、研修体系の再構築を実施。新入社員研修のあり方から階層別研修に至るまで、大幅に見直しをかけた。2014年に創業100周年を迎える同社は、世界的に展開するグローバル企業でもある。そこで同社が昨年から本腰を入れて取り組んでいるのが、グローバル人材の採用だ。特徴は、20年前からフィリピンの合弁会社のサポートを受け、フィリピン人の新卒採用を行ってきたという点。海外人材も含めて“教わる-教える”の連鎖に挑戦している同社の事例を紹介する。
入社3年間で社会人の基礎をつくる
1914 年にガラスびんメーカーとして創業した日本山村硝子。2014 年に創業100周年を迎える歴史ある同社は、国内市場シェア約40%を占める大手ガラスびんメーカーだ。店頭で見かけるおなじみの商品のガラスびんを多数手がける。
同社では、2011年度から研修体系の再構築を図った。
人事部の渡邊悦子氏は、研修体系についてこう話す。「当社では、若手社員への教育をOJTを軸として実施してきました。しかし、入社後の3年間は、ビジネスパーソンの基礎力を身につける大切な時期です。現場任せにせず、会社もより一層かかわりながら育成していくべきではないかと考えました。人事部と現場の連携をこれまで以上に強化し、相乗効果が出るような仕組みを検討しました」
同社では、昨年から新入社員向けの人材育成のコンセプトとして「入社3年間は義務教育として、その間に仕事の基本をしっかりと身につけ、学習を習慣化する」というテーマを掲げた。
これは、入社前(内定段階)と入社後3年間のうちに、①内定者教育(通信教育)→ ②導入教育(集合研修)→③配属後教育(OJT+通信教育)の一貫教育を行うことで、徹底して社会人としての基礎を身につけていくという決意表明でもある。
特に、現場任せになりがちなOJTは、人材開発部門と現場との連携が欠かせない。現場での人材育成をサポートする観点から昨年よりメンター制度を導入。主に若手社員の中からメンターを選定している。メンターには、新入社員が社会人として力を発揮するための指導役、相談役としての役割を期待しているという。「新入社員のうちから学習する習慣を身につけ、さらに人に教えられるレベルへと高めていく。また、メンターという役割を担うことで若いうちから人材育成の大切さ・考え方を社員に浸透させ、職場の育成の風土醸成につなげていくことを狙いとしています」