論壇 世界中どこでも通用する ユニバーサル・リーダーシップとは
国籍、人種、性別、宗教、年齢、受けた教育もバラバラなメンバーで仕事を行う時代が、すぐそこまで来ている。そこで必要なのが、ダイバーシティ環境をものともせず、活躍するグローバルリーダーである。では、どんな国でも通用するリーダーに求められる能力とはどんなものなのだろうか。この問いを解く研究を、現在もコンサルティング会社のニューヨーク事務所で、さまざまなバックグラウンドを持つ人材とともに働く藤村融氏が、自らの体験やヒヤリングなども含めて行った。
「早く、広く、深く、賢く」戦う時代
「(自社にとって)あるべきグローバルリーダーとは、どんなリーダーか?」――この質問に即座に答えるのは難しい。グローバルリーダー(シップ)は道具に過ぎない。戦略を実行するためのリソースであり、世界で勝つための武器だ。ビジネス環境が把握され、目標が明確になり戦略が完了した時初めて、その組織にとっての最適なグローバルリーダー像が具体化される。そこで、私たちが現在どのようなビジネス環境にいるのかをまず簡単に共有したい。1980年代半ばから1990年代、日本は国際市場で黄金時代を謳歌した。その後、下記に列挙したような新たな複雑化した競争フェイズに突入し、得意の固定的「中央集権(効率化)モデル」だけでは勝ち進むことが困難になった。1.各国の保護主義の高揚2.技術ライフサイクルの短縮化3.差別化の難化4.顧客のグローバル化5.業務の深化/専門化6.高まる不確実性舵取りは一段と難しくなったのである。それでも新たな市場を求め、多くの企業がグローバル化への道を進む。予知不可能な環境だからこそリーダーシップは、マネジメントにかかわる誰にとっても不可欠な能力となる。では、具体的にどのようなグローバルリーダーシップが求められるのか。そこで筆者はこの質問に答えるため、下記のデータや調査、その他リーダーシップに関する文献をもとにグローバルリーダーをモデル化した。このモデルは、私たちの多くが近い将来めざすべき「現場でのグローバルリーダー像」を想定している。●筆者が実施した過去のグローバル・プロジェクト●LinkedIn(SNSの一種)を使ったグローバル・リサーチ*1、2●(筆者の所属する)Grant Thornton社ニューヨーク事務所社員へのインタビュー*3●筆者のビジネス・スクール時代のクラスメイト(在米/帰国)へのインタビュー*3●日米欧中のリサーチ・ペーパーや書籍の分析
上記2~4の対象者の在住国/出身国:アメリカ、カナダ、イギリス、インド、中国、台湾、オーストラリア、ブラジル、イタリア、フランス、ロシア、日本、アルバニア、トルコ、メキシコ、プエルトリコ、エクアドル、コスタリカ