企業事例3 インドに6週間! 実際に異文化を体験し語学力も集中強化
外国人とコミュニケーションを図るうえで最初に立ちはだかるもの。その最たる例といえば、言語と文化の違いという“2つの大きな壁”ではないだろうか。IHIでは、そうした2つの壁を取り除くために、実施期間6週間にも及ぶインド滞在研修を開始した。ビジネスで重要な位置づけとなっている新興国での異文化体験は、どのような効果をもたらすのか――。同社の取り組みを紹介する。
異文化理解と語学が国際ビジネスの要点
「世界の個別ローカル市場のニーズを徹底的に把握するとともに、グローバルに展開される社内外の経営資源を最適に配置し、効率的に製品およびサービスを提供できるネットワークを構築する」これは、IHIが2009年11月に発表した『グループ経営方針2010』の中に盛り込まれた、同社が考えるグローバル化のあるべき姿である。現在、世界100以上の国と地域で、船舶・海洋事業、航空・宇宙事業をはじめとした、さまざまな専門性の高いビジネスを展開しているIHI。同社では進展の一途をたどるグローバル化を視野に入れ、グループ経営方針の大きな柱の一つとして、事業運営をこれまでの「国内中心」から「グローバル」へと大きくパラダイムシフトすることを決めた。こうした経営方針の転換を背景とした同社の育成方針について、人事部企画グループ人事・人材開発グループ部長の河合浩氏はこう話す。「新興国をはじめとした海外市場は、ビジネスにおいて非常に重要な位置づけになっていることは周知のことでしょう。企業としてグローバルビジネスに大きくパラダイムシフトする以上、海外で通用する人材の育成は不可欠。日本でのやり方や慣習、考え方のままで、ビジネスを行っても成功するはずがありませんから」(河合浩氏、以下記載がない場合は河合氏)『グループ経営方針2010』を受け、同社はグローバル人材に求める能力として次の2つを掲げた。1.異文化の差に興味・理解を示し、相互の強みの相乗効果から新しい価値を生み出す能力2.外国語(英語、その他の言語)でのコミュニケーション能力これらの能力をグローバル人材に求めていることの背景には、同社ならではの理由がある。