職場報告2 エイチシーエル・ジャパン
米国、ヨーロッパ、アジアなど世界31カ国にわたり事業を展開するインド最大級のIT企業、HCLテクノロジーズ。その日本法人エイチシーエル・ジャパンでは、多国籍の人材がコミュニケーションを図りながら共に働き、日本市場に特化したソリューションを提供している。外国と日本の人材がお互いの持つ強みを活かして働く同社の、コミュニケーションのあり方を紹介する。
その国ならではの“阿吽”を理解する
エイチシーエル・ジャパン(以下、HCL)の東京・九段下オフィスには、日本人とインド人がほぼ半数ずつと、その他約5%のイギリスや中国などの各国出身者が働いている。国が違えば当然、ビジネスの習慣や進め方も異なる。同社で営業のマネジャー職を務めるアール・ヴィクラント・ナイア氏が日本で仕事を進めるにあたり最初に戸惑ったことは、日本独特の“阿吽”の呼吸だった。「通常、ソフトウェア開発にあたっては、お客様の細かな要望を記した仕様書を作成します。当初私たちは、この仕様書がなかなかわかりませんでした。仕様書の書き方に日本独特の“阿吽”の呼吸があり、言語ではなく、その文化が理解できなかったのです」(ヴィクラント氏、以下同)これまで日本企業は、たとえばソフトウェア開発であれば、国内の受託会社にいわゆる“丸投げ”をすることがあった。その場合、仕様を細かく説明しなくとも、受託先が日本的な常識の範囲で不足箇所を補うことが多い。ところがグローバルビジネスではこれが通用しない。