Opinion 仕事のルールをグローバル化すれば 誰でもグローバル人材に
日本に押し寄せているグローバル化の波。これまでさほどその必要性を感じてこなかった企業も、対応に大わらわだ。「グローバルビギナー」ともいうべき企業や個人はどんな問題に直面しているのか。最大の障壁は、日本特有の「ルールなき仕事のプロセスにある」と指摘するキャメル・ヤマモト氏。グローバル3.0時代を生き残る戦略について聞いた。
グローバル3.0で何が変わるか
トーマス・フリードマンの『フラット化する世界』(日本経済新聞出版社)によると、「グローバル3.0」とは「個人が主役となるグローバル化」を指す。全ての個人がインターネットを通し、世界的なビジネスに参加できるようになり、以前であれば国によって生じていた差が消えつつある。国際人材市場では、欧米人も、日本人も中国人もインド人も、同等の競争にさらされるという新たな競争空間が出現している。実感はないかもしれないが、あなたのライバルや上司が外国人になりつつある。さて、このグローバル3.0の波が日本に本格的に到来したのが2010年だ。この年、楽天が英語を社内公用語にすると発表。ローソンでも17名の外国人留学生を新卒採用した他、ファーストリテイリングがグループ社員数百人を海外転勤させる施策に踏み切るなど、グローバル人材育成のさまざまな取り組みが目立った。ビジネスの舞台は国内から海外へ急速に移りつつある。これまでは国内の本社に勤める人々が主流で、海外拠点で働く外国人はローカル人材だったが、今後は逆に国内の人材がローカル人材とみなされる――そんなダイナミックなパラダイムシフトが今まさに起きようとしている。これまで時間をかけ、自社のやり方を土台に、徐々にグローバル人材を育成してきた企業はいいが、そうでない企業は、短期間に体制を変えなければならない分、衝撃も大きい。当惑しているのは社員も同じ。私の周囲でも、人事部や経理部といった、一見グローバルな業務と関連のなさそうな部署の人々が、ある日突然、海外スタッフとプロジェクトチームを組まされたりしている。また、昔からグローバル化を進めてきた企業の中でも、日本人責任者が現地トップを務めてきた企業、すなわち「疑似的な分権化」を進めてきた企業は、真のグローバル化をとげられず苦しんでいる。外国人と日本人トップの間に溝があり、外国人の力を活かした戦略が打てず、国際競争で優位に立てないからだ。これまでの経験では到底太刀打ちできない未体験の時代、グローバル3.0。そこで企業が遭遇するのは、どんな問題なのだろうか。
ルールで動く海外企業空気で動く日本企業
グローバル化において問題にされがちなのは「異文化の壁」だが、最大の問題は別にある。多くの日本企業がつまずいているのは、日本企業と海外企業における「仕事の進め方の違いそのもの」だ。