酒井 穣のちょっぴり経営学 第7回 会計学① 会計学 キソのキソのキソ
今回は、「経営学」の中でも「会計学」(Accounting)の基礎について取り上げる。人事社員は苦手意識を持ちがちな「会計」だが、会計を知れば、組織の健康状態を把握することができる。また、組織の状態を理解したうえでの仕事や戦略が、人事・人材開発にも求められるのである。
教科書に載っていない会計学の基礎
人事部門の人にとって、会計学(Accounting)というのは、なかなかとっつきにくいものではないかと思います。勉強のために簿記の資格を取得している人もいるかと思いますが、それでも苦手意識を持っている人も多いでしょう。
今回は、そんな会計学について、本当に基礎的なことを確認したいと思います。
ただ、会計学に関する本の多くは、専門家や実務家に向けて書かれたものなので、今回取り上げるような「基礎の基礎」というのは、意外と教科書には載っていないものです。
今回は、会計学の基本となる貸借対照表(Balance Sheet:B/S)、そして次回は損益計算書(Profi t and Loss:P/L)について考えます。これだけで十分というわけにはいきませんが、逆に、ここを押さえておかないと人事としても問題になります。そんな最低限の知識について取り上げてみます。
人事教育担当者が会計学を学ぶ意義
財務や経理の人が会計学を学ぶのは、実務上当然のことでしょう。少なくとも、税金を支払うための「税務会計」を理解していないと、法令に従った「税務申告」ができないことになってしまいます。
しかし、会計学は全てのビジネスパーソンにとって必須という意見を多く聞きますよね。この意見に異論を唱える人は少ないものの、実際のところどうなのでしょうか?
そして、人事が会計学を理解する意義とは、どこにあるのでしょうか?
この疑問に答えるには「何のために会計学を使うのか」という点について合意することから始めなければなりません。何のためか――僕は、財務や経理以外の人にとっての会計学は「会社の健康診断に使うもの」と考えています。