特集 フォロワーシップを発揮する ベテラン中堅はこう強化する
35歳から40代前半ほどの“ベテラン中堅”社員。下の層にも上の層にも影響を及ぼす、非常に重要な時期である。しかし、全員が管理職にはなれない、組織の現実の中、モチベーションの維持が大変な時期でもある。しっかりと能力を発揮してもらい、バリバリと働いてもらうにはどうしたらいいのか。最強のフォロワーシップを発揮する、名アシストをつくるには――
上下にアシストを決めるベテラン中堅社員
「もっと早い段階から育成を強化しておくべきだった……」
これは、管理職やリーダー育成を行う企業からよく寄せられる声だ。フラット化が進んだ昨今の組織の管理職には、重大な責務が集中している。身につけておくべき能力も多く、求められているレベルも高い。管理職への準備期間も長くなってしかるべきだろう。
そこで今回、弊誌では「管理職予備軍」とも称されるベテラン中堅社員の強化策に焦点を当てた。具体的には、いわゆる「係長」や「リーダー」職に声がかかる35歳~40代前半の社員を想定している。
残念ながら、多くの企業の現実として、ベテラン中堅社員の全員が管理職になれるわけではない。では、管理職になれない人材が、リーダーやマネジャーとしての能力を備えなくてもいいのかといえば、答えは「No」だ。
韓国、中国企業をはじめとする、他国の世界市場の席巻、「3.11」の影響――日本企業が今一度、組織力を強化しなくてはならない理由は枚挙にいとまがない。強い組織の1つの要件には、ポジションに関係なく、必要とあれば、いつでも誰もがリーダー、マネジャーとなって業務を行える、ということが挙げられる。
管理職と若手のハブである「ベテラン中堅」は、まさに組織の要。その全員が高い能力と意欲を持ってスタンバイしていてくれなくては、組織は強くあり続けることはできない。この層には、管理職にも若手にも、常に効果的な“アシスト”をし、陰ながら重要な貢献をするベテランでいてほしい。上司からも組織からも、フォロワーシップを発揮して組織を盛り立てることがこの層には求められている。では、彼・彼女らにはどんな能力を身につけてもらうべきか。そして、そうした能力を高め、やる気を持って働いてもらうためにはどうしたら良いのだろうか。
役割意識を変えマネジメント能力を伸ばす
彼・彼女らに身につけておいてもらうべき能力や姿勢について、青山学院大学教授の山本寛教授(P28)、そして経営コンサルタントで道代表取締役社長の河合太介氏(P32)両オピニオンに共通した重要な点は、次の事柄である。
①自分の限界を知り「他人の力で成果を出す」マネジメント能力