論壇② 非公式な3つの影響力を発揮して プロジェクトを成功させる狩猟型プロジェクトマネジャー
昨今、仕事の多くがプロジェクト型であり、その成功はプロジェクトマネジャーの質が大きく左右する。本稿では積極的に成功を勝ち取るプロジェクトマネジャー、「狩猟型プロジェクトマネジャー」が持つ3つの非公式な影響力について論じ、そうした人材はどう育てればよいのかについて述べる。
1 狩猟型プロジェクトマネジャーとは
グローバルな環境での仕事、新製品開発――昨今、仕事の多くに不確実性があり、納期やリソース(経営資源)などの制約があるので、どんな仕事も「プロジェクト」ということができるだろう。そうした不確実性の高いプロジェクトを、自分の哲学を持って成功に向けリーダーシップを持って進めていける責任者を私は「狩猟型プロジェクトマネジャー」と呼ぶことにしている。
ここでいう「狩猟型」とは、成功を自発的、積極的に獲得していくという意味だ。プロジェクトマネジャーに任命されれば誰もが自律的にプロジェクトをリードできるわけではない。形だけの受け身のプロジェクトマネジャーも存在する。よって、両者を識別するためにこう名づけた。
プロジェクトの成功に向かって組織を活性化していくには、確固たる「推進力」が必要になる。現状維持ではそのような力は決して生じない。リーダーシップを発揮できる「狩猟型プロジェクトマネジャー」の数が多ければ多いほど組織は活性化し、結果として組織が成長していくことになる。
では、狩猟型プロジェクトマネジャーと、そうでない(受け身の)プロジェクトマネジャーとの違いは何か。組織が役職として与えることのできる“公式”の影響力は同じであるから、違いは、“非公式”の影響力ということになる。本稿では、この非公式の影響力を3つに分けて考えていく。キーワードは「プロジェクトマネジメント」「人間力」「自分の哲学」だ。
2 3つの“非公式”な影響力
①プロジェクトマネジメントで知的武装
プロジェクトでは、組織のリソース(経営資源)をもとに何らかの成果物をつくり出す。その際、成果物自体をつくり出すプロセスと同時に、スケジュールやコスト、人の管理やリスクなども考慮することが必要になる。プロジェクトマネジャーはこれらの活動の中心であり、リソースを効果的に活用し結びつけていくロジック(論理)と、多種多様な知識を効果的に結びつけていくための本質的なコミュニケーション力が必要とされる(図表1)。