連載 酒井穣のちょっぴり経営学 第6回 マーケティング③ 顧客との関係をつくるCRM
「経営学」の中でも、2回にわたり、マーケティングの内容を取り上げてきた。今回は、厳しい時代にあって大きな成功を収めているフレームワーク「CRM(CustomerRelationship Management:顧客関係管理)」について考え、マーケティング①~③の締めくくりとする。
CRM(顧客関係管理)とは何か
「顧客は金で買うことは出来ない」
――セオドア・レビット(経営学者)
良いモノさえ作れば売れたような時代は終わりました。この事実に自覚的でない企業は少なくなりましたが、社内顧客に人材育成プログラムを売り込もうとする人事部員としてはどうでしょうか?
もしかしたら「良いプログラムをつくれば、あとは自動的に社内に広がる」といった甘い期待を持っていたりはしませんか?
人事部員にとって、自社の従業員は「社内顧客」です。CRMを学び、社内顧客との関係管理という視点を獲得していただけたらと思います。
さて、CRMの成功例でおそらく最も有名なのがAmazonの「おすすめ商品」機能でしょう。これはユーザーの購買履歴や過去にチェックした商品のデータに基づいて、ユーザーごとに異なる“おすすめ商品”を提供するもの。さらにユーザーが好みそうな新刊の情報も、定期的にメールで知らせてくれたりもします。また、コンビニのレジでは、店員さんがあなたの(推定)年齢や性別を入力し、どのような購買層にどのような商品を(おすすめとして)陳列すべきかを見るデータとして記録しています。
つまり「CRM」とは、継続的に商品を購入してもらうために、商品(または企業)と顧客の関係を管理する手法のことです。
Amazonやコンビニの話を受けて、CRMとは「大規模なITシステム」という印象を持たれるかもしれません。しかし、CRMでめざしているのは「究極の営業コンセプト」であり、その実現にITを活用するのが便利というだけです。
CRMは、マーケティング実務において、最も重要な概念といえる「セグメンテーション(市場細分化)」の1つとして成熟してきたものです。セグメンテーションとは、商品を購入してくれそうなターゲットを絞り込むために、顧客をさまざまな視点から分類する、ということです。古典的な分類としては、年齢、性別、収入や学歴といった「個人の属性」や性別を入力し、どのような購買層にどのような商品を(おすすめとして)陳列すべきかを見るデータとして記録しています。
つまり「CRM」とは、継続的に商品を購入してもらうために、商品(または企業)と顧客の関係を管理する手法のことです。
Amazonやコンビニの話を受けて、CRMとは「大規模なITシステム」という印象を持たれるかもしれません。しかし、CRMでめざしているのは「究極の営業コンセプト」であり、その実現にITを活用するのが便利というだけです。