TOPIC 3 全日本能率連盟が「マネジメント・インストラクター認定制度」を創設 研修インストラクターの質を認定する制度が誕生
人材育成の重要性が高まる中、その現場を担う研修講師やインストラクターの質に対する要望が高まっている。そこで全日本能率連盟では今年、日本にこれまでなかったマネジメント・インストラクターの認定制度を創設した。この制度の成り立ちやめざす目標について、事務局長の橋本佳名子氏、事業企画プロデューサーの古川憲一氏に話を聞いた。
インストラクターに“自信”を提供
全日本能率連盟(以下、全能連)は、人材育成の要となる研修インストラクターの質の向上が要望されていることを受け、今年度より「マネジメント・インストラクター(略称:MI)認定制度」を創設した。
この制度は、教育・研修団体やコンサルティングファームなどに所属する人、あるいは個人、また企業内で職務として携わる社内研修インストラクターを対象に、全能連が第三者の視点で、研修インストラクターとしての能力を客観的かつ公正に評価するものだ。
なぜ全能連でマネジメント・インストラクター認定制度を立ち上げることになったのだろうか。そのきっかけは、全能連が運営するマネジメント・コンサルタント認定制度だ。これはコンサルティング活動の品質を保証するものだが、ここに集まる申請者の中には“インストラクター”に当たる人材も相当数混じっていた。事務局長の橋本佳名子氏はコンサルタントとインストラクターの違いをこう語る。「確かにコンサルタントは会社の経営課題の解決をお手伝いする中で、それらを徹底するための研修を行うことはあります。しかしそれは不特定多数が集まるセミナーなどで教えるインストラクターとは異なる仕事なのです。
ただ、これだけのインストラクターの方が申し込もうと思われる背景には、地位の確立や自身の品質保証を望むニーズがあるということ。そこで職業人として、自信を持っていただけるような認定制度を新たに考えたのです」
1986年から実施されている「マネジメント・コンサルタント認定制度」は、経産省の指導の下につくられた制度であり、認定者は毎年、官報に名前が掲載される。さらに認定者には、国際公認経営コンサルティング協議会(ICMCI)がマネジメント・コンサルタントの国際基準を設定し認定する国際資格称号「CMC」(Certified ManagementConsultant)も同時に付与される。
こうしてコンサルタントは、仕事の質と地位を社会的に保証され、仕事を依頼する側にも安心感を与えている。このようなサイクルを、研修インストラクターにももたらそうと考えたのだ。
態度変容がなければ研修に意味はない
また、認定制度が生まれた背景には市場側の要請もあった。インストラクターという職の氾濫とそれに伴う質の低下の問題だ。事業企画プロデューサー、古川憲一氏はこう語る。「社会的な規制がなく、誰でも自由に名乗れるので、インストラクターという言葉が世の中に氾濫しています。しかし、私どもが考えるマネジメント・インストラクターは、マネジメント専門分野における産業人材育成領域で働くプロです。そうした方々への職業的地位を確立する必要があると考えました。