TOPIC 2 ~インナーコミュニケーションエキスポ2012 レポート~ 多様化する企業の戦略を社員の行動につなげるコミュニケーション
企業の理念や考え方を組織全体に浸透させるための社内広報活動は、人材開発においても重要な課題である。その点、社内広報部と人材開発部の目的は同じである。社員一人ひとりが組織の戦略に沿って行動するには、何が必要なのか。部門を越えた協働の契機として、社内広報の強化に学ぶ、ひとつのアプローチを紹介する。
インナーコミュニケーションのメディア戦略~社員の行動を企業戦略とリンクさせるために~
多様化・高度化するインナーコミュニケーション
2012年6月6日、7日に開催された「インナーコミュニケーションエキスポ2012」。企業内コミュニケーションを共通のテーマとした各講演が行われた。その中で、社内広報の強化によって、企業のめざす方向性に合わせて社員の考えや意識を統一させ、企業戦略に沿った行動を促すことができると示したのは、本イベントを主催した産業編集センターの講演者だ。
グローバル化や環境保全の高まり、雇用形態の多様化、災害または情報などの危機管理――。社会環境が複雑かつ高度になるにつれて、企業の課題も多様化してきたが、それにともなって社内広報が果たす役割も変化してきたと、金本賢一郎氏は語る。「ビジネスパーソンは日々、さまざまな“判断を求められる場面”に直面します。その際の判断基準は企業の戦略とリンクしていなければなりません。いわば、企業戦略を腹落ちさせることが、社内広報メディアに求められる役割なのです。たとえばその企業の戦略がグローバル化であれば、国際会計基準の制度や新興国の成長、国内マーケットの変化などのテーマを切り口に展開します。また、M&Aや非正規雇用の社員が増加する場合など、立場や考え方が異なる社員の一体感を醸成するためには、広報を通じた企業文化を醸成する取り組みも必要です。さらに最近では、大災害に対する危機管理、団塊世代の大量退職に伴う技術伝承などのテーマもよく聞かれます」