特集 国境のない世界をとらえる 基軸のある企業がグローバルで勝つ
日本から世界にフィールドが変わっても企業としてすべきことは基本的には変わらない。強みを考え、戦略を立て、人と組織の力を最大限引き出す――厳しい局面でも新しい環境下でも、やるべきことを淡々と行える企業と、迷う企業。その違いは、基軸の有無。本特集では、強いグローバル企業の基軸に迫る。
グローバル企業の第一歩は世界をフラットに眺めること編集部
新しい世界の出現に立ち遅れる日本
「日本はグローバル化の電車に乗り遅れた」――そう語るのは、世界的なビジネススクールIMDの学長を勤めるドミニク・テュルパン氏(P33)だ。
乗り遅れたのはなぜか? ガラパゴスだから? 英語ができないから?IMD日本代表の高津尚志氏(P30)とドミニク氏の共著『なぜ、日本企業はグローバル化でつまずいたのか?』(東洋経済新報社)をひもとくと、日本の現状がつまびらかに書かれている。
そこで描かれているのは、世界を知らない日本の姿だ。今、世界がどう変化しているのか、肌感覚で理解していない。たとえば、旧G7と現G20 が世界で占めるGDPの割合の変化、ブラジル製や韓国製のモノが陳列される各国の売り場、グローバル化のためにエグゼクティブ教育に力を入れる新興国企業――そういったことをデータではなく、直に触れ、世界地図が書き換えられていることを目の当たりにしていない人が多いのだ。日本は、1980~90年代の成功、Japan as No.1に長く酔いしれ、他国から謙虚に学ぶことを忘れてしまったのではないか。日本国内に余力があることがかえってあだになり、外に目を向けるのが遅くなっているのではないか、など耳の痛い指摘が並ぶ。