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第一生命経済研究所が女性活躍推進の分析レポートを発表女性管理職増加には労働市場改革が不可欠
●第一生命経済研究所
第一生命経済研究所は、女性管理職比率に焦点をおいて、日本の労働市場における女性活躍推進への課題を分析し、発表した。日本の女性管理職比率は世界的に見ても非常に低く、そのことが男女間の賃金水準の違いの主因となっている。政府は2020 年までに女性管理職比率を30%に上げることを目標としており、それが達成されれば賃金水準差は世界平均並みとなる。ただし同社では、現状から見る限り、達成への道のりは険しいとしている。
まず企業側の要因としては、たとえ管理職に引き上げたいと考えても、これまでの女性採用数が少ないこと、勤続年数が足りないことといった問題の解決には時間を要するため、2020 年までに解消することが難しい。しかし、両立支援の充実や女性採用数の拡大を進めれば、いずれ効果が表れることは期待できる。
一方、女性労働者側の問題としては、2009 年に東京都労働局が行った調査によると、女性社員が管理職を引き受けない理由の1 位は「自信がない」こと、2 位が「家庭との両立が難しい」ことが上位となっている。2011 年に独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った第29 回ビジネス・レーバー・モニター特別調査によると、もともと労働時間が長い男性とは異なり、女性は管理職になると“男性並みの仕事”が求められ、労働時間が大幅に増加することがわかっている。この労働時間の増加が、家庭との両立を阻害する要因となるのだ。
女性の管理職登用が進まない問題の根幹にあるものは、女性の家庭との両立や就業継続を困難とする長時間労働である。日本企業においては長時間労働を前提とした働き方を担うことができる男性労働者が管理職として主戦力になっているのが現状だ。女性にそのまま男性と等しい長時間労働を求めるのではなく、まずは育児休暇制度の整備や時短制度の整備など働き続けることができる環境をつくり、併せて男性の家庭参加を可能にする長時間労働の解消を進める労働市場改革が、不可欠だとしている。
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第一生命経済研究所 経済調査部
TEL:03-5221-4524