連載 ワンワード論語 第2 回 「信」
前回は、自分の外にある知恵や情報を自分の中にインプットする「學」、そして、それらの学びを自分に当てはめ、どう実践すればいいのかと考えるプロセス「思」を取り上げました。今回は、「學」「思」を経て、発言や行動としてアウトプットした結果、あなたにもたらされる「信」を学びましょう。
私たちが自分を表現する手段は、「言」(言葉または文字)か、「行」(実行)かの2つに集約されます。「言」や「行」をアウトプットした結果、周りからあなたに与えられる人間的価値が「信」。その文字が表す通り、「『言』を実行する人」というワードです。
その大切さを教えてくれるのが、下の今月の論語1。「信」がないと、“可なるを知らざるなり”―― 何も任せてもらえませんし、ましてや、あなたの思いや願いに誰も耳を傾けてくれず、何もうまく運ばなくなる、と教えてくれています。
● 周りから信用されていますか
よく、ニュース等で“信を問う”という政治家の発言を耳にします。実はその出典は『論語』で、「信」は人間社会を構成する基盤です。横断歩道を安心して歩行できるのも、ビジネスで契約を締結できるのも、お互いにルール・約束事を守るはずと「信」を置いているからです。一方で、おしゃべりな人に秘密を打ち明けられない、約束を守らない人に大事なお願いをできないのは、「信」を置けないからです。