金井壽宏の「人勢塾」に学ぶ。試す! 人と組織の元気づくり 最終回 「全ての学びを終えて」 ~振り返りと金井先生寄稿~
成熟社会。正解のないビジネス現場。社内のコミュニケーション不足――これらの課題に、即効性のある薬などないことは、誰もが感じているだろう。この状況に風穴を開ける術は、全くないのだろうか? その問いに挑むのが、神戸大学で金井壽宏先生が主催する第4期「人勢塾」。本誌では、「人勢塾」全10回の授業をレポート。施策ひとつで問題を解決するのではなく、組織全体へ多様なアプローチをする。そんな「組織開発」の手法を学び、ぜひ現場で試していただきたい。
全ての学びを終えて
2012年8月号から連載してきた、神戸大学・金井壽宏先生主催の『人勢塾』レポートは、今号が最終回。第10回目のレポートと金井先生自らの寄稿で幕を閉じる。今回連載した第4期『人勢塾』は、「組織開発」をテーマに、あらゆる手法をその道のプロから学ぶもの。かつ、受講者たちは一方的に与えられるだけでなく、事前・事後学習で学びを自らのものとするプロセスをたどった。最終日となる第10回は、今回参加した23社(1社より2名)からのプレゼンテーション。テーマは「組織開発を通じて、人の勢い、組織の力を高める試みを、どこからどのように導入できそうか」とおかれた。簡単に各社からの声を紹介しよう。
◆「ホールシステム・アプローチ」の学びが大きかった。「組織開発のプロがいないと始まらない」ではなく、ホールシステム(会社の全部門を代表する人たち)を巻き込むようなネットワークをつくることで、組織の変革は叶うのではないか(百貨店業)
◆「ワークショップ」回での学びを社内のOJT研修で活用。リアルタイム・ビデオ(RTV)もクライアントに提案して実施。参加者の一体感を高めることに効果的だった(研修・コンサルティング業)
◆「AI」からの学びを、社内で実施。よりしっかりビジョンに向かえる会議として、「みんなの人事部とは?」をテーマに対話。また、クライアントに対しても実践し、よりビジョンに向かえる人事制度の作成をサポートした(人材サービス業)
◆経営者や経営幹部がODを学ぶための訪米視察団を組織し、NTLインスティテュートや、E.シャイン教授を訪ね、継続してODを学ぶ機会をつくる(経済団体)
この他にも、学んだこと、実践した結果の報告、今後のビジョンなどを語った。
Live Report連載最終回に当たり、ごく簡単にこれまでの内容を報告する。次ページに続く金井先生による寄稿と合わせて読んでいただきたい。
Pick Up 1 超ダイジェスト 『人勢塾』レポート
【第1回 会議学】
講師:金井壽宏氏/「今なぜ、組織開発か」のオープニングセッションに続き、会議のプロセスを最適化する方法「ホールシステム・アプローチ」を扱った。関係者が一堂に会し、正解ではなく納得解を導けるのが「理想の会議」。組織開発の基本的な考え方から始まった。
【第2回 ワークショップ】
講師:中野民夫氏(同志社大学大学院教授)/ワークショップ企画プロデューサーでもある中野先生のもと、自己紹介ワークやからだほぐしなどさまざまなワークショップを体験。また、金井先生が「(自身の)人間観を語れる人」と紹介した通り、中野先生が語った人間観・世界観も、受講者が「自分自身の人間的基盤」を考えるきっかけとなった。