人材教育 The Movie ~映画でわかる世界と人~第8回 「海洋天堂」
中国で習近平体制がスタートし、マスコミは一斉に、経済成長率の目標が7.5%に設定されたこと、それに軍事費の増大を伝えた。というより、ここ数年、中国に関するニュースはほとんどこればかりである。日本人はこういう状況にすっかり慣れた。かくして、対中イメージは好転するきっかけがつかめず、良くならない。内閣府が昨年11月に公表した世論調査結果では、中国に「親しみを感じない」「あまり感じない」割合が80%を超えた。調査を始めて以来、対中イメージは最低である。一方、経済的には、もはや疎遠になることは不可能な関係になっている。激しい反日デモで中国リスクが改めて浮上してきたとはいえ、中国市場に根を張った企業が引き揚げるとは思えない。ユニクロが中国から撤退するだろうか。日本はこのように、「対中観は良くならないのに経済的には離れられない」という、二律背反の状況に陥っている。何しろ、今や「アジアの成長を取り込む」というのが日本経済のスローガンであり、中国はその牽引役だ。腹は立つが縁も切れない。対中観が、本音と建前とに分裂してしまっている。日本はこれから中国と、どう付き合っていけばいいのだろうか。