企業事例2 NTTコムウェア ルーチン業務を削減する技を伝え思考業務へのシフトを狙う
業務過多の課長からは、業務を外すか圧縮しなければ、本来求められる戦略策定や人材育成等の思考業務にさらに力を注ぐことは難しい。NTTコムウェアでは、業務効率化のために職場ですぐに実践できる、ルーチン業務削減の技を伝授。 さらに人材育成、特に現場OJTの実践を主査クラスに移管することで、課長の時間を生み出した。
ルーチン業務を削減し思考業務へのシフトを図る
NTTコムウェアで課長層向けの研修内容を見直すきっかけとなったのは、社内アンケートだった。「組織としての健康状態を調べたところ、管理職の問題として、“マネジャー層が疲弊している”、“仕事が多重化しマネジメントができていない”、“人材育成ができていない”などの問題が見えてきました」(総務人事部HCMセンタ三尾和幸担当課長、以下同じ)
たしかに、管理職は、オーバーフロー気味だった。「セキュリティ管理やCSR 推進など“本来業務”の拡大に加え、勤怠管理、決裁など、システム投入自体も課長自らが行わなければならないものも多い。さらに突発的な仕事や特命を任せられたりと、とにかく課長は業務が多いのです」
課長層に期待していることは、人材育成や戦略の企画立案などの思考的な業務の遂行だが、現実的には、緊急性の高い日々のルーチン業務に追われ、こうした思考的業務は、後回しになってしまっているのだ。「 イメージではありますが、課長の日々の仕事を見た時、戦略策定や人材育成などの思考業務は、全業務量の3割程度で、残りの7割は、事務処理などの作業的業務が占めているのではないでしょうか」
だが、これ以上課長の負荷を増やすことはできない。そこで、三尾氏は、思考業務へシフトさせるために、日常業務の効率化と業務削減を図った。
課長の時間をつくる研修と“虎の巻”
まず、2009年度に教育研修全般を見直し、課長向けの研修内容も刷新した。
それまでの課長研修は、新任課長研修と、既任課長を対象にした3年ごとに振り返りを実施するマネジメント強化研修の2つ。
これまでの新任課長研修は、講師1人につき、受講生は40 名以下の少人数で、マネジメントについて徹底的に考え、議論するもの。参加者の評判は良かったが、研修実施から数カ月後にモニタリングすると、研修で学んだ内容が職場で実践されていないという問題が浮き彫りになった。