特集 企業が支える管理職 管理職が元気な会社
管理職に仕事が集中している、管理職が疲弊している――こんな言葉をよく聞くようになって久しいが、状況は改善されるどころか悪化すらしているように見える。企業が組織として、働き方、人の育て方を見直し、サポートしていかなければ状況は打破できない。 そうしてこそ、管理職が人の育成に力をいれ、人を巻き込み組織力を高めて成果を出すことが可能になるのだ。管理職が元気になること、それが組織が元気になる第一歩である。
個人では解決できない“構造的な”問題
一昔前の管理職といえば、ほとんど社内にいて、部下からの報告を聞いたり、社内調整をしたりするのが仕事だった。だが、バブル崩壊後、人件費削減やポスト削減で、現場の第一線で活躍してきた人が、マネジャーを兼任するようになった。
これがプレイングマネジャーだ。今ではすっかり当たり前になったが、プレイヤーとマネジャーという異なるスキルが求められる2役をこなすのはたやすくない。そのうえ、IT化、グローバル化、雇用形態の多様化などビジネスを行う状況や職場の状況も目まぐるしく変化した。
こうした中でプレイングマネジャーは疲弊している。データを見れば、その大変さがよりよくわかる。
産業能率大学が2010 年に行った「上場企業の課長を取り巻く状況に関する調査」(サンプル数428、対象は①部下1人以上、②上場企業、③従業員数100人以上に勤務、に全て当てはまる課長・マネジャー)によると、プレイヤーを兼務している課長の割合は99%にのぼる。そのうち自分の仕事の半分以上がプレイヤー活動に占められていると答えた課長は4割。そして、「プレイヤー活動がマネジメント活動に支障」をきたしているとした回答が54.8%と半数を超えた。
一昔前の何倍も働いているにもかかわらず、業務に忙殺され、課長本来の業務である、“部下をマネジメントし組織能力を高めて成果を上げること”ができていない現状が浮かび上がる。企業からも「管理職が職場で機能していない」「疲弊している」といった声をよく聞く。だが、その状況はここ数年間変わっていない。
どうしたら、管理職が元気を取り戻し組織能力向上を行うことができるのか。まずは現状を整理しよう。