連載 ワンワード論語 第4 回 「省」
人の成長は、自分の「言(発言)」と「行(行動)」が及ぼした「果(結果)」を振り返り改善をし、次回に活かしていくというサイクルにより、もたらされます。これは、前回の“しまった”というような「過」の場合に限らず、実は、思い通りになった場合でも大切なことです。今回は、この振り返り、セルフチェックである「省」を学んでいきましょう。
“反省”と聞いてどう感じるでしょうか。誰かに注意される辛い作業、自分を傷めつけるもの、といったネガティブな印象を持つ方も多いのではないでしょうか。
● 「省」はセルフ「ダメ出し」ではない
しかし、『論語』において「省」は、自己成長のための重要なワードであり、本来の意味はポジティブなものです。「省」とは、目を細めて(小さくして)対象をよく見る動作を表現しています。
普段、順調に過ごせている時、私たちは自分の心の状態を考えたり、覗き込むことはありませんよね。とはいえ、思い通りにならない時や悩んだ時は、しっかりと自分を見つめたいものです。
『論語』を何十年も読み実践を心がけていると、頭の中でこう聞こえてきます。“注意を受けてから直すのは嫌なもの。だから、セルフチェックをしてレベルアップしていく習慣を自ら身につけていくのがベターなんだよ”と。