世界規模のワールド・カフェで 学習する組織を実現
コンピュータやインターネット用のセキュリティソフトの開発・販売を
手がけるトレンドマイクロ。グローバル展開している同社では、
4年前から学習する組織をめざす取り組みを全社的に行ってきた。
同社が対話力強化のために導入しているのがワールド・カフェだ。
実際にワールド・カフェがどのように機能しているのか、
同社の事例を通して見ていく。
学習する組織になるための教育プログラムを導入
「あらゆるデジタル情報を安全に交換できる社会」を実現するために、「ウイルスバスター」をはじめとする情報セキュリティサービスの開発・販売を手がけるトレンドマイクロ。同社は、1988年の創業以来、世界各国でグローバルに事業を展開してきた。ベンチャー企業として出発してから20年あまりが経過し、今では世界規模の企業へと急成長をとげた。
そうした同社では、2007年から「学習する組織」になるために、T L C(Trendmicro Learning Circle)というプログラムを導入した。T L Cについて人事総務本部本部長の岡澤耕氏は次のように話す。「我々IT業界の時代の変化はとてもスピーディです。そうした環境下で生き残るためには、社員1人ひとりが考え、行動できる力を身につけて、“学習する組織”となることが必要です。TLCは、これを実現するために、その考え方についてワークショップを通じて習得するというもの。今では全世界の拠点で実施されています」(岡澤氏)
同社が導入しているTLCは、TLC1.0、TLC1.5、TLC2.0の3段階でレベルを設定している。そのTLCの取り組みの核となっているのが次の3つの柱だ(図表)。
志 :自己実現、共有ビジョン
問題対応:システム思考
内省と対話:メンタルモデル、チーム学習、対話
このプログラムでは、対話力強化のツールとして、ワールド・カフェを導入。TLCにワールド・カフェを導入した背景を、マーケティング本部コーポレートマーケティング部の多賀谷一央氏は次のように話す。「学習する組織の条件の1つに、他者とのつながりを意識し、理解する能力があります。チームで成長するためには、他者と対話をしながら創造的に考える力が必要です。だからこそ“対話”は学習する組織の重要な要素。個々人の潜在能力を高め、会社のパフォーマンスを最大化するような対話をするためのツールとしてワールド・カフェが最適と判断されたようです」(多賀谷氏)
TLCの取り組みでワールド・カフェを採用したのをきっかけに、同社ではさまざまな場面でワールド・カフェを用いたディスカッションを実施。今では社員1人ひとりの意見を集めるために欠かせない方法として定着しているという。