第18回 学びはフィールドにあり!? 顧客と一緒にキャンプをする会社 検証現場 スノーピーク 山井 太氏 スノーピーク 社長|中原 淳氏 東京大学 大学総合教育研究センター 准教授
テントやランタン、焚火台など、アウトドア用品の製造・販売を手がけるスノーピーク社。同社ではユーザーである顧客と社員が一緒にキャンプをするイベントを年間10回以上行っています。社員はキャンプを通して何を学ぶのでしょうか。新潟県三条市にあるスノーピーク本社を訪ねました。
キャンプ場のある会社
スノーピークは、機能性、デザイン性の高いアウトドア製品ブランドとして知られています。世界最小のマイクロストーブ(可搬型コンロ)やコンパクトに折り畳める焚火台など、作り手の徹底したこだわりが感じられるスノーピーク製品には、熱烈なファンも多いといいます。
そうしたこだわりの製品を生み出すスノーピークの本社(headquarters)は、新潟県三条市郊外の小高い丘の上にあります。敷地面積5万坪、雄大な自然の中に建つスタイリッシュな社屋は2011年のグッドデザイン賞を受賞。
この社屋には自社製品の展示販売をするショップ、フリーアドレスで開放的なオフィス、金属製品などの加工を行う工場、さらにはアフターサービスの部署まで入っており、来場者はガラス張りの回廊からオフィスや工場の様子を見学できるようになっています。
驚くのは、社屋の隣の広大な草原が、年中無休で100 組以上が利用可能なキャンプフィールドになっているということ。トイレ、炊事場、シャワー、ランドリーも完備し、テントやバーベキューセットなどスノーピークのキャンプ用品レンタルも可能です。なんとスノーピークは“キャンプ場のある会社”なのです。
さらに、同社では本社隣接のキャンプ場だけでなく全国各地のキャンプ場で、ユーザーである顧客と社員が一緒にキャンプをするイベントを年間10回以上行っており、“社員がキャンプをする会社”でもあります。
スノーピークでは、なぜ社屋にキャンプ場を併設し、社員が顧客と共にキャンプをするのでしょうか。それはスノーピークのものづくりにどんな影響を与えているのでしょうか。