人事の職場拝見! 第30回 国際興業グループ 旧体質からの脱却でめざす 次世代の自立・変革型人材の育成
国内外に約40 のグループ会社を有し、幅広い事業を展開する国際興業グループ。時代の変化に伴う人材強化が目下の課題だ。年功序列から脱却し、成果評価とのバランスを探る中で、“国際興業らしさ”を失うことなく教育や研修施策に変化を与える人事課の取り組みを紹介する。
物事を大局的に捉える自立・変革型人材を育てる
路線バスなどの「運輸・交通」を主軸に、「流通・商事」「観光・レジャー」「開発・不動産」の4つの柱で事業を展開する国際興業グループ。
現在、全社における課題として、人材の強化に取り組んでいる。その陣頭指揮を執る執行役員 総務部長の小山秀樹氏はこう語る。
「運輸業界は、監督官庁の認可や許可に左右されることもあり、全般的に保守的な傾向が強いように感じられます。こうした古い体質を完全に払拭したとは言い切れず、社員一人ひとりの現状に対する問題意識と解決力が大きな課題と考えています」
いつまでも従前のやり方にとらわれていては、変化の激しい経済環境では生き残れない。人々の生活習慣やニーズが多様化する中で、時代に沿ったサービスの提供が不可欠だ。そこで同社がめざしたのが、自立型・変革型人材の育成である。
「 物事を大局的に捉え、部分最適ではなく全体最適な考え方を持って物事を判断し、行動していく。そして、それを企業価値に結びつけていける人材が今の国際興業グループには必要なのです」
年功型から成果型へ若手中堅の折衝力を鍛える
国際興業グループでは2002 年に人事制度を改定。年功序列だった評価体系に成果型を徐々に取り入れてきた。ここ数年で、ようやく年齢にとらわれず、実力のある者が上に立つという仕組みが定着してきたという。人事課長の髙木信幸氏は、「運輸業には人材をゆっくり育てていこうという風土があります。年功主義からの脱却とはいえ、全てを“結果”だけで評価するのではなく、スピード感やインセンティブはゆるやかに、社風やそれまでの年功型の体質に合った形での運用を心がけています」と話す。