連載 人事の職場拝見! 第35回 成城石井 持続的成長とブランド力を両立する社員の興味と能力を引き出す育成戦略
“店側が売りたいもの”を売るのではなく、お客さまのニーズを訊き、それに沿ったものを提案する―。近年、店舗数を急速に拡大し、全国に100 店以上を展開する成城石井。スタッフの高い接客力と商品知識を維持するための人材育成が、その成長の礎となっている。
食への知見を広める商品研修を重視
“食”にこだわり、豊かな社会を創造する」を企業理念に掲げる成城石井。食への関心はもちろん、接客をベースとしたコミュニケーション能力、さらに店舗スタッフをまとめ、目標に向かって進むリーダーシップ力を備えた人材の育成をめざす。
同社はワインやチーズ、コーヒーなど、主力とする商品に特徴がある。人事部部長兼CS推進室室長の千葉文雄氏は、「そうした食への知見を広めてもらうためにも商品研修に力を入れています」と語る。
たとえばワインの商品研修なら、ワインスクールから専門の講師を招き、試飲を交えながら知識を深め、味の表現方法や各ワインに合う料理なども考える。全社員が受講し、現場の戦力でもあるパートやアルバイトにも開放している。
また、取引先の協力を得て、工場見学なども実施。商品に関する知識が広がるだけでなく、商品そのものへの興味が高まり、より伝わりやすい接客につながっているという。
eラーニングとコンテストで接客スキルをアップ
一方で、接客スキルの向上も小売業にとっては必須だ。成城石井ではeラーニングによる接客教育に注力している。社員だけでなくパートやアルバイトも受講でき、各店舗に設置したパソコンから基本的な商品知識をはじめ、文字では理解しづらい接客応対や挨拶も映像で視聴できる。