おわりに これからのHRへ
日本企業のこの20 年の人事・人材開発、そして組織にはどのような変遷があったのか、簡単に特集を振り返ろう。
まず最初に、人事制度についてだが、「何をどう評価するのか」について大きな変化があった。多くの企業が1990 年代後半以降、「職能給から、仕事や役割で処遇を決める方向にシフト」していった(OPINION1 今野浩一郎氏、40 ページ)。
また、成果主義の見直しとして「評価の比重」を変更した企業もある。たとえばNTTデータでは2010年から、それまでの“行動3割、業績7割”を、“五分五分”とした(52ページ)。
成果主義の導入は、どの企業でも試行錯誤が必要だった。1990年代後半から2000 年初頭に相次いだ最初の導入では、一般的に短期的な目標を追い求めがちになったため、その後、中長期的な視点で挑戦したり、他者を気にかけ人を育てる職場を取り戻すための転換が図られたのだ。
評価者研修・被評価者研修(キヤノン、56ページ)や、人材の棚卸し会議(「水平会議」ベネッセコーポレーション、60ページ)などによるフィードバックで、評価の透明性や納得度を高める必要性が出てきたことも、大きな変化である。