CASE.2 NTTデータ 実務家が語る② 急激なグローバル化に、細やかなプロフェッショナル人材育成で対応してきた20年
成果主義、ダイバーシティ、そしてグローバル化。時代の要請を好機と捉え、節目節目で人材育成や評価制度のバージョンアップを図ってきた。その視線の先には、日本を代表するシステムインテグレーターからグローバルトップ5プレイヤーをめざす姿がある。真のプロフェッショナルとなるために一人ひとりが何をすべきかを明確化する組織を、どのように実現していったのか。
● 人事制度転換(1998年~)年功から成果重視型へ
日本電信電話公社が民営化されてから3年後の1988 年、「データ通信事業本部」が「NTTデータ」として分社化された(本社:東京都江東区)。それは苦難の道といえる出発だった。
しかしこれが、新たな企業文化を一から築く追い風となった。ほどなく訪れたバブル崩壊とその後の10 数年において、同社は手厚い人材育成や組織活性化施策を行っていった。
「人材こそが最大の財産である、というのが創業時からの哲学です」と執行役員 人事部長の忽那太郎氏。
設立当初から毎年400人前後の新入社員を採用してきた同社にとって、大きな転換期は1998年頃に訪れた。
「それまでの年功給与型から、成果業績重視型へ移行し、処遇の見直しを図ることになったのです」(忽那氏、以下同)
処遇を成果業績重視にすると同時に、社員に能力開発・キャリアプランを考えさせる仕組みを導入。自律的に将来のキャリアプランを描けるように、全社員が年度初めに目標を立て、「チャレンジシート」に記入する。そして、能力開発の目標や、目標へどう到達するかを具体的に考える面談を上司と四半期ごとに行うようにしたのである。
次の転機は2004 年。経済界では、「お客様満足度向上」が合言葉のようになっていた頃だ。
「私たちがお客様満足度No.1を実現するためには、社員自身の仕事や会社に対する満足度を高め、能力を最大限に発揮してもらうことが重要だという考えに至ったのです」
具体的には、「人を配置する→能力開発をする→評価/処遇する→再配置する」という人材リソースマネジメントのサイクルを明確にし、それぞれのポイントで、毎年秋に実施する社員満足度調査の結果をもとに取り組みを充実させていった。たとえば、職場改善プログラム(専門家を交えたワークショップ)の実施、社員のキャリアに関する相談窓口となる「キャリアコーチングサービス」の導入、管理者の組織マネジメント力の向上に向けた「管理者向け研修体系の整備」といった施策だ。
同時にOJTだけでなく、Off -JTの社内研修を受講することも目標化した。1人年間10日間の受講を最低ラインとし、現在も実施中だ。
● 人事制度再検討(2010年~)評価制度にメリハリを
そんな中、2010 年頃に再び大きな節目がやってきた。いわゆる成果主義の見直しである。