第45回 自分だからこそ後輩たちのためにできることがある 現場を知っている強みを活かし皆がありのまま働ける職場へ 西岡真帆氏 清水建設 コーポレート企画室 DE&I推進部長
西岡真帆氏
伝統的に男性の職場というイメージが強く、女性従業員が少なかった建設業界。そのなかでも女性の採用や登用に積極的に取り組んできたのが清水建設だ。日本建設業連合会は会員企業の管理職に占める女性比率を24年度の3.5%から29年度までに5%に引き上げる計画を発表しているが、清水建設は25年度で5.6%を達成している。
女性活躍を含めて、同社のDE&I推進の立役者が西岡真帆氏だ。もともと技術者だった西岡氏がHR領域でどのような挑戦をしてきたのか、話を聞いた。
[取材・文]=村上 敬 [写真]=中山博敬


土木技術者の父に憧れゼネコンに就職
「清水建設は09年に『ダイバーシティ推進室』を立ち上げ早くからダイバーシティ施策に取り組んできましたが、私が入社した95年当時はまだ男性優位の組織でした。もっとも当時は建設業界自体、総合職の女性がほとんどいなかったので……」
コーポレート企画室DE&I推進部長の西岡真帆氏は、そう語る。西岡氏がこの業界に興味を抱いた原点は、父が働く姿だった。
「父は電力会社の土木技術者で、私は長野県にある新高瀬ダムの水力発電所を建設しているときに生まれました。子どものころ現場に連れて行ってもらったときには、父が全部つくったのだと勘違いして、この仕事はすごいなと(笑)。文系が苦手だったこともあって、大学進学で学部を決めるときは土木工学を選びました」
西岡氏が入学した土木工学科は1学年100人前後の学生のなかで女性はたった3人という男性社会だったが、それでもインフラをつくって社会の役に立ちたいという思いは変わらず、就職先に選んだのはゼネコンだった。
「発注者側だった父は受注者側の実態を知っているから、『ゼネコンに女性が活躍できる環境はない。公務員になればハンデはない』とアドバイスしてくれました。でも私は最前線の現場で働きたくて。『もう男性優位の時代は変わったから大丈夫』と言ってゼネコンで就活をしました。ただ、男女雇用機会均等法が施行された後だったのに、当時のゼネコンは『女性の総合職は採らない』といって採用試験を受けられなかった。唯一『専門試験で1位になったら面接に進める』と言ってくれたのが清水建設で、なんとか結果を出して入社にこぎつけました」
土木の女性総合職としては3人目の入社だったという。

