おわりに 現場の声をやりがいとEX向上へつなげる

人的資本経営など、人材の価値を最大限引き出そうという気運が高まるなか、その重要性が注目されている従業員体験(EX)。会社に属する期間、従業員はどのような体験を重ねることができるのか。個人が会社を選びやすい時勢もあり、エンゲージメントや自律的キャリアにもつながるEXをいかに高めていくべきか、会社も考えなければならない時代になった。
本特集では、特に従業員にとってのインパクトが強いと考えられるEXの入口・オンボーディングと、出口・オフボーディングに焦点を当てた。それぞれのポイントをまとめてみたい。
オンボーディングを進める情報の一覧化とネットワーク
オンボーディングに欠かせないのは何か。沢渡あまね氏(スペシャル鼎談)は、「対話とプロセス」の重要性を指摘する。聞き合う行為、つまり対話を行うことで互いの状況を理解し合えれば、入社者にとって安心できる環境につながる。また、必要な情報を整理し、一覧化することで、「誰に何を聞けばよいのかわからない」という課題も解決できる。これも入社者の不安を取り除き、安心して会社に馴染むプロセスを後押しするだろう。
実践しているのが、サイボウズ(CASE2)だ。同社はオンボーディングで伝えるべき知識やスキルと担当部署を一覧にし、誰に何を聞けばよいのかを明確化。また、オンボーディングに関する情報をプラットフォームに集約しており、入社者と既存社員のコミュニケーションをとりやすくしている。