巻頭インタビュー 私の人材教育論 顧客に選ばれる組織とは前向きな心・言葉をつかい人の本来の力を引き出せる集団
企業の海外進出が進み、英語教育への関心が高まっている。そうした中、全国に253校の英会話スクールを展開するイーオンでは、教材・カリキュラム・教え方の質を高めると同時に、生徒の本来の力を引き出せる教師やスタッフを育成することで、他の英会話スクールとの差別化を図り、需要の獲得を狙う。
高まる英語へのニーズ
──近年はグローバル化に伴い、大企業に限らず地方の中小企業でも英語が必要になってきています。そうした市場の変化をどう見ていますか。
三宅
今は英語圏に限らず、どこの国であれ、海外の人と仕事をするには、英語が必要になります。現在、世界中で話されている英語の75%はノンネイティブ同士の会話だと言われ(JACET-IIBC調べ)、今や世界中で英語を使ってビジネスが行われている状況です。確かに組織の規模に関係なく仕事に英語が必要になってきており、TOEICスコアを昇進の条件にする企業も増えています。英語が必要なのは、何も海外に出ていく人ばかりではありません。2013年、来日した外国人の数は1000万人を超えました。観光立国を謳う政府は、この数を2000万人まで増やす方針ですから、国内で事業を展開する企業においても、英語はますます必要となるでしょう。さらに国が、小学校での英語の必修化と、学生の海外留学を積極的に進めていることもあり、若い頃からの英語教育に対する需要も高まっています。このようにいろいろな側面から英語に対するニーズは高まっており、英語学校にとってビジネスチャンスは広がっていると言っていいでしょう。ただし、安心してばかりはいられません。英語を学ぶ手段は英会話教室だけでなく、スカイプや、ネットを使った英語学習など、さまざまな方法が登場しています。したがって、何もしなくても生徒数が増えるという市場環境ではないことも認識しています。
効率だけでなく教室の雰囲気も重視
──そうした市場環境下でとられている戦略とは。
三宅
イーオンは、英語力を「夢をかなえる力」と捉え、生徒様の夢の実現をサポートすることを理念に掲げています。英語を学ばれる方の中には、仕事で使えるようになりたいと考える方がいれば、いろんな人たちとコミュニケーションを楽しみたいという方もいます。そうしたさまざまなニーズに応えることが当社の役割であり、そのためには、「効率的に英語力がつく教育を行うこと」と、「よい雰囲気の中でレッスンを行うこと」の2点が重要だと考えています。まず、「効率的に英語力がつく教育を行う」という観点では、総合的な英語力を伸ばすことと並んで、「学ぶ」ことと、「練習する」ことの両方を重視しています。学校教育の現場では、かつての読み書き中心の英語教育に対する反省から、80年代後半以降、文法を軽視する風潮が高まり、基本的な英語力が弱まってきました。しかし、英語学習は基礎がものを言いますから、文法力も不可欠です。英会話教室と言うと、文法にはこだわらないというイメージがあるのではないでしょうか。しかし当校では話すだけでなく、読む・書く・聞くも加えた4技能を総合的に伸ばすことを基本方針に掲げており、設立以来、教材、カリキュラム、教師の強化に力を入れてきました。教材とカリキュラムは、「イーオン語学教育研究所」という専門組織で開発しています。ここでは、日本人の英語力向上のためのメソッドやカリキュラムを研究し、コースや教材を開発しています。