人材教育 The Movie ~映画でわかる世界と人~ 第20回 『天井桟敷の人々』
『天井桟敷の人々』は、フランス人自身がフランス映画の歴代ナンバー1として選んだ、名作中の名作である。私は子どもの頃、フジテレビで午後3時から放映されていた「テレビ名画座」という番組で、この映画を初めて観た。学校から帰っておやつを食べながら、私はこの番組を通して多くの名作に出会った。これはテレビが果たした大きな功績だったと思う。今、テレビは視聴率しか考えないし、ネットでは各自が関心のある情報にしかアクセスしないから、こういう出会いはもう望めない。TSUTAYAがお薦めコーナーなどをつくっているのが救いだったが、今やネットで観放題の時代になった。名作に接する機会はますます少なくなっている。変化の激しいIT社会だからこそ、過去を知らないと人間は自分を見失う。社会が世代を超えて文化遺産を共有していくには、どうしたらいいだろうか。