連載 人事の職場拝見! 第43回 自発的な学びのカルチャーが広がるモチベーションが体現できる機会の提供
世界的な製薬メーカー、グラクソ・スミスクライン。その日本法人は、学びの機会の法則「70:20:10(仕事上の経験:対話:研修)」を教育のベースとしながら、日本独自の戦略としては次世代の経営を担う高い意欲とリーダーシップ力を持った人財を育てる仕組みづくりに挑んでいる。
GSKマインドの浸透
グラクソ・スミスクライン(GSK)グループは2014年、従来の「社員に求める要件」を進化させ、新たに6要件としてまとめた「GSKExpectations」を打ち出した。その要件の1つが「GSKの価値観を体現する」というものだが、価値観とは、1.相手を尊重する姿勢、2.透明性の高い活動、3.患者さん中心、4.品位ある行動の4つを示す。人財本部 採用・人財開発部 部長の奥村由香氏は、「GSKにおける全ての事業活動や決定が患者さんのためになることをめざし、たとえ人事であっても自分の仕事がどう患者さんの役に立つのかを考えます。社員全員がこのマインドを持つことが重要であり、研修をはじめ社内のアクティビティでもGSKの価値観を思い起こす活動を仕掛けています」と話す。
意欲を発揮する場をつくる
「GSKの価値観」を指針に行動することが求められる中で、GSKジャパンの社員は非常に意欲的だ。中でも、社員がファシリテーターを務める「コーチング体験ワークショップ」と、社内の課題をプロジェクト化し、社員自身が取り組む「ピープル・プロジェクト」は同社の社員の積極性を表す好例である。コーチング体験ワークショップのファシリテーターは社内認定制度により、アセスメントをパスした20名が現在活躍している。各ワークショップの担当となった3、4人のファシリテーターは、開催前に自主的に練習を行い、終了後は即座に振り返りを実施。ファシリテーターとして得た学びを他のファシリテーターと共有し、互いのスキルアップに貢献している。