ID designer Yoshikoが行く 第86回 ASTDで語られた眠れる能力の起こし方
前号で、ASTD(American Societyfor Training and Development:米国人材開発機構)がATD(Association for Talent Development:能力開発機構)になる、というビッグニュースをお伝えしたが、そこでハタと困惑したのは、会場に集まった研修担当者や講師たちである。「これからは研修ではなくタレントを開発するのだ」と言われても、さて明日から、何をどう変えればよいのやら。なにしろ英語のTalentには、「能力」の一言では表しきれない微妙なニュアンスが含まれている。それは、「まだ十分に開花していない、持って生まれた才能やスキル」という意味。TEDの講演で有名な英国の教育思想家、ケン・ロビンソン卿が言うところの、「今までの教育ですっかりスポイルされていて、心の奥深くに眠る、本人も気がついていない能力や情熱を発掘する」ことが、これからの人材育成のプロの仕事というわけである。なるほど……。と頷いてはみるものの、「眠れるタレント」という曖昧模糊としたイメージに困惑の度はますます深くなるばかり。ワークプレイスでのパフォーマンスやコミュニケーション力、リーダーシップ力といった「目に見える能力」ならお手のものだが、「眠れるタレント」をどうやって見つけだせばよいのか。そんな悶々のあげく、「さまよえるタレント難民」と化した研修担当者や講師たちがドッと押し寄せたのが、2014年注目度No.1の「Neuroscience(神経科学)」関連のセッションと、リベラル系ニュースサイトTheHuffi ngton Post Media Groupの社長兼編集長として人気No.1のアリアナ・ハフィントン(Arianna Huff -ington)氏の「真の成功を手に入れるために心がけるべきこと」という基調講演である。アタマの中、ココロの奥を探ってみたら、その「眠れるタレント」とやらが見つかるかもしれない、ということである。