おわりに 日本とローカルの壁を取り去ることがグローバル化のスタートとなる
グローバル化の中のアジア
電機、自動車、食品など、日本にも世界企業は多く存在する。それなのに、日本企業はグローバル化に後れをとっているという声を耳にする。輸出大国ニッポンとして成長する過程では、日本本社が海外に拠点をつくり、日本からオペレーションを行い、ローカルのトップには日本人を置く。これが日本式グローバル化だった。
しかし、世界の潮流では定義が違う。P&Gなどの欧米企業に見られるように、国籍にかかわらず適任者を現地のトップに配置し、現地に合わせた研究開発、生産、マーケティングを行うことがグローバル化としている。日本は、この定義によるグローバル化に後れをとっているというわけだ。国内市場が飽和になった産業は、国外に活路を見出すしかない。国外のうち、地理的な条件やビジネス慣習の理解のしやすさ、そして何より莫大な人口を抱えるアジアはそうした課題を持つ日本企業にとって魅力的だ。本特集では日本企業が世界的なグローバル化の波の中で、特に今後有望市場として注視されるアジアにおいて、ベストな企業活動をするために必要な人材要件とは何かをひも解くことに焦点を当てた。そこからはいくつかの示唆に富む人材育成のあり方が浮き彫りになってきた。これを、日本人駐在員とローカル人材に分けて考えてみたい。