TOPIC 「Open Workshop Designer Week」レポート 組織の壁を越える場づくりを行う人はどうつくる?
青山学院大学社会情報学部のワークショップデザイナー(WSD)育成プログラムは、ワークショップの企画・運営ができる人材の育成をめざす社会人向け講座だ。5月25日~30日の5日間、青山学院大学は「OpenWorkshopDesignerWeek」として、WSD育成プログラムを広く知ってもらうため、特別無料講座を開講した。その中から、最終日に行われた特別講座をレポートすると共に、同プログラムの概要について取材した。
WSD育成プログラムとは
「講義型研修だけでは参加者に飽きられてしまう」「対話型研修によってコミュニケーションを促進したい」など、さまざまな理由から企業内研修の中にワークショップを取り入れたいというニーズが増えている。しかし、効果的なワークショップの企画、運営を行うためには、それなりの知識と実践経験が必要だ。
ワークショップデザイナー育成プログラム(以下、WSD育成プログラム)は2008年度、文部科学省「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム事業」の委託を受け、苅宿俊文氏(青山学院大学社会情報学部教授)と平田オリザ氏(劇作家、演出家、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授)が、青山学院大学と大阪大学の協同事業としてスタートした社会人向け講座だ。
企業研修の現場や、地域活性化、医療現場などさまざまな領域でのワークショップの活用を目的として、その企画・運営ができる人材の育成をめざしている。
同プログラムは1期3カ月、120時間のカリキュラム(うち対面講座が13日間、eラーニングが約40時間)。1クラス25名のクラス制で、多様な背景を持ったメンバーと共に学び合う場となっている。
WSD、つまりワークショップの実践者の育成を目的としているため、プログラム構成はワークショップに関する理論を学ぶだけでなく、その企画、実践、振り返りの流れを経験できるような実践的な内容になっている。講座修了後は学校教育法に基づく履修証明書が発行される。
講師陣による公開イベント「OpenWorkshopDesignerWeek」では、5日間にわたって平田オリザ氏、苅宿俊文氏ら講師陣が無料講座を行った。その中から最終日、5月30日に行われた特別講座の模様と、苅宿氏からのメッセージを紹介する。
【特別講座】研修の新しいカタチを探る。ワークショップ型研修のつくり方
内山 厳氏 G office代表、HRDコンサルタント 青山学院大学 社会情報学部 非常勤講師
この特別講座の講師はHRDコンサルタントの内山厳氏だ。参加者は約40名、まずは各テーブルに6名ずつ座り、互いに自己紹介。参加者は企業の人事、研修担当者が多かったが、研修講師、まちづくりNPOに所属する人などさまざまだ。
内山氏は、「企業内研修をもっと魅力的なものにすれば、その意義を理解してもらいやすくなるかもしれません。その1つの方法として、体験を通して学ぶワークショップ型研修のデザインについて考えていきたいと思います」と、講座をスタート。はじめに、ワークショップ型研修を企画する際の注意点について触れた。
内山氏は、研修を行う目的を「組織の問題解決につながること」であるとし、ワークショップ型研修を企画する際は、最初に「組織の問題解決にワークショップ型研修が効果的なのかどうかを吟味する必要がある」と話す。