おわりに 伸ばしにくい能力を見極める仕組みをどうつくるか
事実上、採用活動の時期が短くなりそうである2016年卒採用に向け、今回の特集を組んだ。企業も学生側も疲弊を余儀なくされている現在の採用・就職活動を、2016年に向け、どのように転換していくべきなのか。特に、伸びそうな人材を採用するにはどうしたらいいのか。
今回の重要な示唆は、なんといっても服部泰宏氏(横浜国立大学大学院 准教授、66ページ)の「何を見て何を見ないかという発想を持つ」ことだろう。
日本企業では「コミュニケーション能力」などを採用要件として重視しているが、コミュニケーション能力は、実は鍛えれば誰もが身につけられる能力である。そうした、“入社後も育成すれば伸びそうな能力”で人材を選んでしまい、逆に、“入社後に育成できない重要な能力”を持つ人を見落としてしまっていないか、という指摘である。
ちなみに服部氏は、採用を「採用学」という研究分野に起こし、こうした科学的な視点を採用活動に持ち込むべく、産学共同の「採用学プロジェクト」を立ち上げ、協力企業と調査を行っている。今後も注目の若手学術研究者である。