CASE.1 キヤノンマーケティングジャパン 熱さは、風呂でいえば「45℃」 何度も厳しくフィードバックし基本行動を染み込ませる
キヤノン製品や関連ソリューションのマーケティングを行うキヤノンマーケティングジャパンでは、新入社員に対し、身だしなみ・ビジネスマナー・報連相などの基本行動とロジカルシンキングを重点的に身につける研修を行っている。
その特徴は、何度も繰り返し、厳しく指導するという点だ。
「風呂の湯でいえば45℃」という“ 熱い”研修とは、どんな様子なのだろうか。
●基本方針 基本行動を徹底的に叩き込む
キヤノンマーケティングジャパンでは、今年も例年通り2カ月間の新入社員研修が行われたが、その内容は大きく様変わりしたという。理由は、昨年の研修後に新人たちの配属先の上司に対して行ったヒアリングで“ビジネスマナーを中心とした基本的なスキルが身についていない”という意見が寄せられたことに起因する。
「研修中は身だしなみも挨拶も全員しっかりできていたので、最初は耳を疑いましたが、彼らは我々の前でビジネスマナーを“演じて”いただけで、身につけてはいなかったのだと気づきました」(額田氏、以下同)
そこで2014年の研修は、徹底的に基本を身につけさせることにこだわった。ポイントは“何度も繰り返させる”ことと“厳しく指導する”ことの2点。繰り返しの回数を増やすために、研修メニューは極力絞ったという。
「身だしなみ・ビジネスマナー・報連相、PDCAを回すといった基本行動、そしてロジカルシンキングに焦点を絞りました。グローバルでのスタンダードな考え方は、論理的な思考。“とにかく一生懸命頑張りますので、なんとかお願いします!”という情緒的な考え方では今後ますます通用しなくなりますから、早い時期から身につけるべきだと考えました。例えば、口頭でもメールでも結論を先に述べ、“今日お伝えしたいことは3つあります。1つめは○○で、2つめは……”というふうに話を組み立てる、といった“クセ”をつける。それには、基本行動と同様に何度も何度も繰り返して定着させるのが一番です」
2カ月間のカリキュラムの特徴の1つは、いわゆる座学が非常に少ないこと。基本行動やロジカルシンキングについての知識を得た後は、実践スタイルの研修でそれを実際に数多く使わせるのだ。中心的なカリキュラムは以下の通りである。
〈基本行動トレーニング〉
講師が上司役を務め、挨拶、名刺交換、電話対応、初歩的な業務の遂行とそれらに関する報連相、クライアント先への訪問、企画の立案と提案といった内容を、ビジネスの現場さながらの緊迫感の中で繰り返し体験。仕事の型を体に叩き込む。
〈ビジネス演習〉
「基本編」では、社内での資料作成を指示され、ロジカルシンキングを用いて資料を整理・作成する演習を行う。研修の仕上げである「応用編」では、旅行業の営業という設定で、お客様への訪問、電話やメール、上司との報連相を通してお客様の課題に対して仮説を立て、お客様への提案を行う。ほとんどの研修は4~5人のグループで進めるが、「応用編」では1人で全てをこなさなければならず、その過程で“知識として学んだ基本行動”を繰り返し実践することで使えるレベルにしていく。