めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第18回 今、改めて見直される「練習」の重要性
ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須である。本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた、情報のプロが最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。
練習という言葉から何を連想するであろうか。忍耐、反復、苦痛......。この言葉の響きをあまり前向きに捉えることができないかもしれない。私は学生時代、バドミントン部などの部活動に参加していたのだが、すでに30年も前の記憶とはいえ、練習が大変だったことだけはよく覚えている。青春時代の思い出といえば聞こえはいいが、とにかくくたくたになるまでしごかれた。部活動はほとんどが練習で、数少ない試合で勝つために、モチベーションを維持しながら、何とか取り組んでいたことをつい昨日のことのように思い出す。さて、ビジネスにおける練習とは何か。目的はスポーツもビジネスも大差ない。本番で成果につなげるための、大変重要かつ必要不可欠な要素である。オリンピックなどスポーツの世界大会を見ていると、メダルを獲得後に大抵ドキュメンタリーで練習風景が流される。そこで改めて練習がクローズアップされる。大変な思いをしてここまで上り詰めたのだなと素直に感動するのだが、ビジネスの場合、そこまで練習がクローズアップされることはまずない。しかし、練習なくして成功することもまずないのだ。プレゼンテーション(以下プレゼン)ひとつとってみても全てに練習が求められる。顧客先でのプレゼン、役員説得のための社内プレゼン、人事担当者であれば優秀な人材を獲得するための採用プレゼンなど、これらをすぐに完璧にできる人はいない。誰かに見てもらって指摘を受けたり、自宅で鏡を見ながら立ち居振る舞いや姿勢をチェックしたり、録音して聞いてみたりと、プレゼンに長けた人は皆この手の練習を欠かさない。自信をつけるためには練習に励むしかないのである。ビジネスも練習→成果の繰り返しなのだ。人材育成のシーンにおいても、練習の重要性を繰り返し説いていくことを強くお勧めする。今回紹介する練習関連書籍の特徴は、以下に大別される。1.プロスポーツ指導者の練習に対する考えをビジネスに活かす2.プロスポーツ選手自身の練習への取り組みに言及