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research「構造変化の中での企業経営と人材のあり方に関する調査」結果競争力強化に「人材の能力・資質を高める育成体系」が不可欠●労働政策研究・研修機構
労働政策研究・研修機構は、「構造変化の中での企業経営と人材のあり方に関する調査」を実施した。この調査は、企業における事業展開の現状や今後の見通し、人材の育成・確保にかかわる戦略・ニーズなどについて明らかにし、労働政策の企画・立案や労働に関する政策研究の効果的な推進に資するための基礎的なデータ収集を目的としたものである。それによると、企業経営を取り巻く環境変化を背景にして、正社員に求める能力・資質も変わりつつあることがわかった。これまで企業が正社員に求めてきた能力・資質については、多い順に「専門的な知識・技能、資格」が62.1%、「業務を完遂する責任感」が61.9%、「組織協調性(チームワーク能力)、柔軟性、傾聴・対話力」が56.4%などであった。これに対し、今後、企業が正社員にどのような能力・資質を求めるかを尋ねると、上位から「リーダーシップ、統率・実行力」(52.1%)、「専門的な知識・技能、資格」(49.9%)、「業務を完遂する責任感」(49.7%)、「(部下等の)管理、指導・育成力」(49.4%)などが挙がった。これまでと今後を比較すると、「専門的な知識・技能、資格」や「業務を完遂する責任感」は依然、上位にあるとはいえ、共に12.2ポイント低下している。また、「組織協調性(チームワーク能力)、柔軟性、傾聴・対話力」も引き続き半数超の企業が挙げているとはいえ、これまでから今後で9.1ポイント下落している。一方、「ストレスコントロール力」「事業や戦略の企画・立案力」「新たな付加価値の創造力」「グローバルな視野や国際コミュニケーション能力」「コスト意識・財務センス」等の数値が上昇しており、今後、正社員に求められる能力・資質としての位置づけが高まっていることがわかる。そうした中、自社の競争力をさらに高めるため、今後強化すべきものを問う設問では、「人材の能力・資質を高める育成体系」がトップで52.9%に上っている(図)。以下、「顧客ニーズへの対応力(提案力含む)」が45.5%、「従業員の意欲を引き出す人事・処遇制度」が39.5%などと続く。