OPINION 2 対話の質を問う タスク一辺倒の世界から、人中心の対話へ
なぜ、今、ワークショップをはじめとした人と人が話し合う場が、教育研修として注目をされているのか。組織行動論の研究者である金井氏に、その理由と対話の質について聞いた。
──対話型の研修が増えています。講義形式との違いは何でしょうか。
金井
自分の頭で考えて、学びを深められる点でしょうね。もちろん、講義形式のほうが効率的なテーマもあります。学ぶことは本来、やり方を工夫すれば楽しいものなんです。せっかく聞いてくる人も自分の考えを持っているのですから、話し手が一方的に話すのではなく、「一番気になることは何ですか」と質問して対話をスタートするほうが深まります。仕事も、頭ごなしの命令ではなく、「こんな時はどうしたらいいと思う?」と自分の頭で考えてもらうような対話が重要です。
──対話が苦手な人は、どうしたら。
金井
「対話」を扱う際、カギになるのが「質問」。質問の「質」によってその効果はいくらでも変わります。特に今、質問は「謙虚さ」がキーワードになりそうです。昨年、米国でヒューレット・パッカードやGEなど多くの企業で組織開発の活用についてヒアリングをしてきたのですが、「humble(謙虚)」という言葉がよく出てきました。MITのエドガー・シャイン先生の新刊も『謙虚な問いかけ』が書名です。家庭・職場・学校など、日常生活における組織開発がテーマです。「頭ごなし」「糾弾する」質問の反対語が「humble(謙虚)」な質問です。