TOPIC 1 未来研究所 ボブ・ヨハンセン氏に聞く 外とつながり、内も鍛える これからの世界を牽引するリーダーシップ
これからVUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)な世界がやってくる。そうした中で、優れたリーダーには、クラウドを使いこなし、外へ外へとつながっていくことができる力が必要になる。同時に、外に飲み込まれないように、内面を強くすることも―。未来研究所(IFTF)のボブ・ヨハンセン氏が考えた、未来を創る10のリーダーシップスキルに基づき、スキルの活用と今後のリーダー像について、アメリカ・カリフォルニア州にあるIFTFでお話を伺った。
――まず、ヨハンセン博士自身のお仕事と目的を教えてください。
ヨハンセン
10年後を予測するのが仕事です。リーダーシッププログラムをつくる専門ではありません。社会科学者として、8年間IFTFの所長をやっていますが、10年後を予測して、その中でどのようにうまく立ち振る舞っていくかということが私の目的です。実は今朝、ここシリコンバレーでワークショップを計画している関係で、地元企業の取締役たちがつくっている会の会長をしている方と話をしたんです。その方は、ある企業のCEOを務めた方でもあります。その方に、「今と昔では何が違うか?」と聞いたところ、「自分からこうしろ、ああしろと言うことはできない。チーム・オリエンテーション、チーム志向というのが非常に重要である。今、非常にスピードが速くなってきて、人々の考え方が変わってきている。リーダーに必要なのは、一歩後ろに下がって話を聞くこと。それが重要だと思っている」と言われました。なぜ、話を聞くことが重要かというと、多くの変化が起こってはいるけれど、全てが同じスピードで動いているわけではないですから、何が変わっていて、何が変わっていないかということを見極める必要があるからです。
――10年後の世界に向けた変化のベースには何があるのでしょうか。良いリーダー(Great Leader)と悪いリーダー(Bad Leader)を分けるものとは。
ヨハンセン
私は“Amplify(拡大・拡張・増幅する)”という言葉を使いたいのです。というのは、今はインターネット、今後はクラウドがコミュニケーションの中心になってくると、ネットワークがコンピュータ化してきます。“良いリーダー”と呼ばれる人たちは、クラウドをもっと使って自分たちをさらに拡大していくことができます。逆に“悪いリーダー”と呼ばれる人たちはクラウドをうまく使えないことで、より一層うまくいかなくなってくるでしょう。リーダーがまず考えなくてはいけないのは、多くの媒体や伝達手段がある中で、どの媒体や伝達手段を選ぶかということです。そしてその媒体を通じて、どうやって引っ張っていくのかということが重要になります。