JMAM通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告 雪印メグミルク “常に挑戦する人”を 育成する仕組みをつくる
2009年に雪印乳業と日本ミルクコミュニティが合併して誕生した雪印メグミルクは、「“常に挑戦する人”を尊重し、成長・活躍・自己実現の場を提供する」という人事理念を掲げ、その仕組みづくりに力を入れている。集合研修を補完し、主体的な能力開発をサポートする手段として通信教育を活用、「受講修了応援企画~抽選で受講料全額補助~」など、ユニークな取り組みで、受講を促進している。
“常に挑戦する人”を育てる人材開発
雪印メグミルクは、3つの使命である「消費者重視経営の実践」「酪農生産への貢献」「乳(ミルク)にこだわる」を果たし、「ミルクの新しい価値を創造することにより、社会に貢献する企業であり続けること」を企業理念に掲げている。使命の1つに「酪農生産への貢献」を挙げているのは、同社の起源が酪農家の協同組合であることに由来しており、これが雪印メグミルクの特徴である。最近は、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)問題に加え、飼料価格高騰による乳価値上げなど、酪農家や同社をめぐる環境は厳しい。そうした中で、企業としての存続と日本の酪農業への貢献を同時に実現していくために、新しい発想で道を切り拓ける人材が求められる。こうした人材を育成するために同社では、「“常に挑戦する人”を尊重し、成長・活躍・自己実現の場を提供する」という人事理念を制定し、挑戦した人が優先的に自己実現の機会を与えられる仕組みづくりに取り組んでいる(図1)。その1つが、「キャリアチャレンジプロジェクト」だ。これは、現在の仕事内容に関係なく、本人がチャレンジしたい部門や職種にエントリーする公募制度である。2012年度に初の試みとして実施したところ、85名が応募、国内の製造部門から海外事業に異動した社員や、営業職から開発部門に異動した社員など、27名が自らの希望する部門への異動を実現した。人事部 人材開発センターの芦沢邦彦課長は、「手を挙げた人全てが希望通りの仕事に就けるわけではありませんが、挑戦する場を設けることで、前向きな雰囲気が生まれ、組織の活性化につながるはずです」と、その成果に期待を寄せている。今後も、人事として継続的により良い施策を考えていく予定だ。
自己学習との組み合わせで効果的な学びを実現
主体的な取り組みを促す仕組みは昇級者向けの教育にも導入されている(90ページ図2)。経営職(管理職)になる直前の一般職5級を対象とした昇級者研修では、マネジメントの基本知識を学ぶ通信教育の受講を集合研修参加の条件にしている。これは、主体的に学ぶことの重要性を受講者に認識させるのが狙いだ。さらに、事前に学習することで必要な知識のレベル合わせができるので、集合研修の場では、ディスカッションなど、気づきや相互啓発のために時間をかけられるため、効果的な学びが可能になる。