CASE.1 人材輩出企業の理由 全員がリーダーであり 価値観を共にし行動する
最も成功したグローバル企業の1つ、GEは、どのように世界中の人材を活用しているのか。その根幹をなす、HRの基本方針と評価の仕組みを聞いた。そのうえで、GEが見据える2030年を知ることでこれからのHRに必要な考え方を示唆する。
We All Rise社員全員がリーダーである
常に世界のリーディング企業として成長と革新を遂げ、グローバルに活躍する人材を輩出し続けてきたGE。世界160カ国、30万人の社員に対して、人材育成に年間10 億ドルを投資、経営陣は執務時間の3分の1を人材育成に充てている。そのGEの人材育成の根幹は、「全員がリーダーである」という考え方がなす。若手社員からシニアクラスのマネジャーまで、組織の各階層に「リーダー」を育てることが、環境変化にスピーディに対応し、遂行力も高い企業をつくる。このような考え方に基づき、GEでは、どの階層の社員であっても、全員にリーダーシップを求め、育成していくことを戦略的に位置づけている。「新人に求められるリーダーシップと、管理職に求められるリーダーシップの中身はもちろん違います。若い社員であれば、人を動かしてプロジェクトを遂行することが必要ですし、管理職になればピープル・マネジメントの要素が加味されてきます。いずれにせよ、指示を待つだけではなく、自分から提案して仕事を進めていくためには、リーダーシップが必要なのです」(山下氏、以下同じ)リーダーシップ研修を含め、あらゆるレベルの社員が「リーダーシップ」を自分の問題として考える機会を多々設けている。リーダーシップに関する研修の大まかな構成は、(1)まず自分を知ること(スキル、強み、開発分野)、(2)次に他者を知ること、そして(3)ビジネスを知ること、となっている。全ての社員がリーダーになることができる、リーダーこそが仲間を奮起させベストな結果を引き出す、という考え方は、GEでは「We All Rise」(みんなで成長する)というキャッチフレーズで社内に浸透している。「部下が成長していくこと・他人が昇進していくことが、強い組織づくりにつながると考え、これを喜ぶことが、文化のレベルでしっかりと根づいているのです」と山下氏は語る。全員がリーダーであるという企業文化は、次のキャッチフレーズからもわかる。We Are Collaborative(互いに強調し、知識を共有する)We Are Experiential(実践から学ぶ)