ART 日本美術家列伝 室町〜江戸時代前期篇 利休後の茶の湯に新たな美意識を持ち込んだ古田織部 矢島 新氏 跡見学園女子大学 教授
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織部は武将である。信長や秀吉に仕え、賤ヶ岳の合戦や小牧・長久手の合戦にも参陣し、それなりの武功も上げたようだ。ただ武将としては歴史に名を遺すほどの存在ではなく、その名は茶人として語られることがほとんどだ。知名度は師匠である千利休に及ばないが、弟子の中では抜きんでた存在であり、造形の歴史において大きな役割を果たしたアーティストであった。
茶人織部を伝える逸話は数多い。あるとき利休が集まった弟子たちに「瀬田の唐橋の擬宝珠の中に見事な出来のものが二つあるが、見分けられる者はいるか」と問うたところ、織部は何も言わずに1人その座を離れた。夕刻に戻ると、京から瀬田まで早馬を飛ばして擬宝珠を見てきたという。一同が織部の美への執心に感心したのは言うまでもない。