CASE1 NEC|テレワークは組織文化変革と自主性尊重のため 理念の明文化・対話・研修でマネジメント力強化を目指す 杉本稚代氏 NEC 人材組織開発部 シニアマネージャー 他
「働きがい」を目指して長年にわたり取り組みを進めるNEC。
近年は、組織のカルチャー変革を視野に入れたテレワークにも積極的に取り組んでいる。
同社のテレワーク導入による効果とマネジメント力強化策を、今後の方向性を含めて聞いた。
30年以上にわたり働きがいを追求
5Gをはじめとするネットワーク技術や生体認証、AI、IoT といった先端技術の開発と提供、そして、海底から宇宙まで、あらゆる業種において、幅広く社会インフラを支える日本電気(以下、NEC)。グローバルで社員数11万人を数える同社は、社員の「働き方」に関しても、30年以上にわたり多くの実験的な取り組みを続けてきた。
1984年には国内初の試みとして東京・吉祥寺にサテライトオフィスを開設。以降も裁量労働制度(1998年)、モバイルワーク基盤(2008年)、勤務間インターバル(2012年)等の取り組みを進めてきたが、2017年度になると、働き方改革の推進を本格化。翌2018年には、社内変革の一大プロジェクトとして「Project RISE」を始動させた。
Project RISE では、社内変革のひとつとしてスマートな働き方の実現を目指し、「意識改革」「インフラの整備」「業務・プロセスのシンプル化」という3つのアクセラレーター(加速媒体)のもと(図1)、一人ひとりのパフォーマンスを最大化するために、「働く時間」「働く場所」「働くスタイル」をよりフレキシブルなものにしていくことがうたわれている(図2)。
こうした流れの一環として2017年に作成され、翌年春から運用が始まったのが、テレワークでのセキュリティーの考え方や注意点、マネジメントの留意点をまとめ、社員に周知するための「テレワークガイドライン」である。同ガイドラインが策定される以前からテレワーク活用を推進してきた同社であるが、同ガイドラインの特徴は、全社員が利用することを前提に策定されたことだ。翌年4月には、制度としての制限を大きく緩和した。
たとえば、以前はテレワークの対象となるのは、事前に書面で申請し上司の許可を得た人に限られていたが、書面の申請を廃止した。また、テレワークの回数についても週1回までだったところを※、制限なしに改めた。
※ 通勤配慮者(育児/介護、障がい等)は当初から回数制限なし。
カルチャー変革を推進するためのテレワーク
テレワークを推進する目的は、働き方改革の一環ということだけではなく、社員の多様性と自主性を尊重し、自走していけるチームをつくることにあるという。テレワークガイドラインが制定された当時の状況を踏まえ、人事総務部主任の藤井沙紀氏は次のように話す。