CASE 2 日本ユニシス 多様な働き方・学び方へ 反転学習、サイバーメンタリングなど “デジタル”で人財育成を進化
ITサービス企業の日本ユニシスは、自社の人財育成においても、デジタルツールを積極活用している。
新規事業の創出プログラムにおいて、事前学習や個別指導をオンラインで実施するほか、オンライン通話を用いたワークショップ、自己学習用eラーニング教材の提供なども行い、働き方・学び方の改革にもつなげようとしている。
● 人財育成の全体像 組織風土・働き方変革も重視
日本ユニシスは、中期3カ年計画(2015 ~ 2017年度)で「デジタルイノベーション」「ライフイノベーション」「ビジネスICTプラットフォーム」の3点を成長戦略として掲げ、それを支える組織風土の醸成に取り組んでいる。2016年度には、新たに組織開発部を設置。人財育成の強化、働き方改革、風土変革を一体化して行う体制を整えた。
「人の育成だけでなく、組織や働き方全体を複眼的に見て改革を進めます。これまで以上にイノベーションが生まれる組織をめざしており、人財育成におけるデジタルツールの活用も、組織風土・働き方変革の一環と捉えています」(宮本氏、以下同)人財育成は、「日本ユニシスCDP(Career Development Program)」という人財ポートフォリオとキャリアパスの下、計画的に行われている。
「持続的競争優位を確立するための“組織能力”を高めることを重視しています。研修を行うだけではなく、採用、制度、OJT、ローテーションなどを総合的に組み合わせて効果的に育成していく方針です。専門ごとに人財像を定め、基礎から習熟、確立、深掘り・拡大へとステップを踏んで育成します」
● Principalプログラム 新規事業を起こせる人財を育成
育成体系は図1だ。階層別、専門分野別プログラムの他、イノベーションを起こす人財に焦点を当てた「変革リーダーシッププログラム」が目を引く。
今回注目したいのは、その変革リーダーシッププログラムの中の「Principalプログラム」(図2)である。新規事業を自力で創出できる人財の育成をめざし、平岡昭良社長が専務時代の2011年に私塾として開始。2014年に、正規の研修プログラムとした。
当初は参加者が自由にやりたいことを語り合い、ビジネスにつなげていく場だったが、新プログラムでは、まず前期(5 ~ 8月半ば)に「事業構想力強化」研修を実施。そのうえで、後期(9 ~12月)には、実際の事業案件を題材に、事業化に向けた調査・分析、企画策定を通してアントレプレナーシップを学ぶ「ビジネス創出ワークショップ」を開催する。
「いきなり新規事業を生み出すのは難しいため、段階を踏んだプログラムにしました。前期に、ケーススタディによってビジネスの勘所を学ばせます。他業界の実在の企業をリサーチし、その会社の課題と対応策を経営者目線で分析してプレゼンしてもらうのです」