おわりに スポーツの先にある人生を見据えて “成長し続ける力”を伸ばす指導法
指導方針と環境づくり
本特集では、実績を残すスポーツ指導者に育成やチームマネジメントについて話を聞いた。紹介した5名の指導対象は学生から日本代表選手まで、またスポーツはサッカー、バレー、柔道、ダンス、テニスと各様だ。だが、その方針や考え方には、共通点が多く見られた。要点をいくつかピックアップしたい。
指導方針① 自ら考え、行動させる
どの指導者にも共通していたのは、選手や生徒に「自分で考えさせる」という方針だ。たとえばサッカーの平岡和徳氏は、指導において生徒の「考動力」、つまり“常に考え行動する習慣”をつけることを重視している。
なぜ答えを教えず、考えさせ、自分で気づかせるのか。最たる理由は、持続的な成長につなげるためだ。言われたことをこなすばかりでなく、課題も改善策も自ら考え、行動に移す力があれば、進化を続けることができる。
指導方針② セルフマネジメント力を伸ばす
自ら考えさせることで養われるものの1つが、セルフマネジメント力だ。柔道の井上康生氏は、練習メニューや試合戦略だけでなく、生活習慣まで自身で考え、マネジメントできる“自立した”選手の育成を行う。
平岡氏も生徒に24時間の使い方をきっちり考えさせ、計画を実行させている。トレーニングと栄養摂取、そして睡眠という3つの要素をいかに自分で組み立てるか。指導者の目の届かないところでの自身のマネジメントは、成長に欠かせない。