能力開発優秀企業賞受賞 奨励賞 トクヤマ “本人・上司・人事グループ” 三位一体の人材開発が企業に変革を起こす
【受賞テーマ】
研修(OFF-JD)から職場(OJD)への架け橋を築く人材開発
~個人の行動変容と組織変革の促進~
2002 年、中原茂明氏の社長就任をきっかけに、トクヤマは人材を財産と考え、社員の能力開発を通じ、“技術と人”を重視した経営に変えつつある。奨励賞受賞の対象となった、その取り組みを紹介する。
“個”の尊重が企業成長の起点
トクヤマは、1989 年に定めた基本理念の中で、「“個性”を重視する経営」を基本ポリシーの1つに掲げている。
そして、「人材を資源もしくはマンパワーとする考え方ではなく、“個”の尊重が企業成長の起点になる」を人事に関わる運営理念とし、人材開発に関わる基本的な考え方を明らかにしている(図1)。
第1は、主体的な能力開発。
能力開発とキャリア形成は、基本的に本人が主体となるとし、会社は主体的な能力開発を自己責任で行う企業人の育成と、本人の選択に応じた自己開発を支援する。
第2 は、人材育成の責任は職場の長にある。
能力開発最大の場は職場(OJT、OJD)であるとし、職場の長は人が育つ環境作りをする責任がある。人材開発スタッフは、それを支援する。
第3は、行動変容を促す。
人の行動は、その人の人格と環境によって変わる。個人の能力を開発する、あるいは組織そのものを開発することによって、企業組織の構成員の行動は変容する。
そして第4 は、人材開発のPDCAサイクルと品質管理。
人材開発スタッフは、実施した教育・研修の後に行動変容の第一歩を促し、その効果を把握する。さらに、職場や研修の場から能力開発ニーズを探り、プログラムの改善を図る。
能力開発の鍵を握るのは上司
注目すべきは、4つの指針はトクヤマの人材開発が本人、上司、そして人材開発スタッフの三位一体の取り組みで実施されることを明確にしていることだ。人材開発スタッフとは、トクヤマの場合、人事グループに属する。人員はわずか4名。人事グループ主席の浅田洋二氏は次のように指摘した。