能力開発優秀企業賞受賞 本賞 日本ゼネラル・エレクトリック GE 横河メディカルシステム 次世代マネジャーを生み出す早期選抜、早期育成のシステム
【受賞テーマ】
経営戦略をサポートする有機的な人材マネジメントシステム
~リーダーシップ育成とセッションC~
人事制度や教育プログラムのシステムの機軸“GE バリュー”。世界中のGE 社員が、この理念の下に育成されている。継続的に高い評価を上げている社員の行動様式を抽出したというこの理念と、これを基に次世代マネジャーを育成するGEの人材マネジメントシステムを、GE 横河メディカルシステムに聞いた。
GEグループ全体で共通する
人材マネジメント理念
メディアから医療、金融に至るまで、6つの多種多様な事業部門から構成されているGE。本社と支社、親会社と子会社といった概念はなく、33万人のグループ社員がすべて“GEの社員”というアイデンティティを持ち、人材マネジメントについても、共通の理念の下で展開されている。
この事は、前CEOジャック・ウェルチ氏就任後の1980年代から続く好調な業績を支えるうえで、大きな役割を果たしている。
GEでは求める人材像として、「変革を推進しながら事業を成長させることのできる人物」と定義。そしてそのために必要な価値観や行動を“GEバリュー”という8つのキーワードで表し、グループ全体での周知徹底を図っている。また、このGEバリューには、1つひとつに行動の指針が示されていて、単なる標語に終わらせない工夫がなされている(図1)。
この行動の指針は、GEにおいて継続的に高い業績をあげている社員に、共通して見られる行動様式を抽出、リスト化、グルーピングすることで作られており、ここで示されている行動を行っていれば、高い確率で高い業績をあげることが可能と言い換えることもできる。そして、処遇評価の基準にもこれが使われている。
このGEバリューとは、まさにコンピテンシーに他ならない。また、この考え方を開発し、はじめて企業の人事システムに適用したのがGEであり、後にこのGEバリューがコンピテンシーという名前で一般化したことも、ここで触れておくべきだろう。
約2年前からは、このGEバリューに加え、Growth Traits(成長のための行動様式)として5つのキーワードを策定し、実施している。これは長期的な成長を支えるために必要な、リーダーとしての行動様式である。現在のところ、GEバリューについては、社員すべてが持っていなければいけないもの。そして、グロウス・トレイツは差別化要因として、本人の能力開発目的として提示されている。
これらについてはGE横河メディカルシステムだけでなく、33万人のGEグループすべてで展開されている。
当然のことながらアメリカで開発され、英語で提示されたものを日本で周知させるためには、骨子を変えずに日本人に受け入れやすいものにしなければならない。GEでは、翻訳の際の“言葉選び”にも配慮し、各事業会社の人事にヒアリングを行いながら、資料の作成および研修の実施を行っている。例をあげれば、社員に馴染みの深い日本の例を、資料の中に取り上げることで、イメージを容易にする工夫を凝らしている。