セッション概要2 Cセッション 強い“現場づくり”/ミドルの育成/ 次世代リーダーの育成
Cセッションでは、人材の育成・活用面での最も重要な課題の1つとされているコア人材の育成について、現場リーダーにスポットをあて、その中核となる“強いミドル”の育成、および、もう1つのテーマとしてトップを含むマネジメント人材の育成が取り扱われる。
組織の活性化に欠かせない現場の
コア人材とマネジメントの育成
今求められているのはかつての現場力の復元だけではない
日本企業の競争力の源泉とされてきたのが「強い現場力」だ。しかし、1990年代からの「失われた10年」を経て、かつての強い現場力が弱体化しているという指摘がされている。
このところ、企業業績の回復が進む中で、“勝ち組”と目されている企業でさえも現場の弱体化が強く意識されるようになり、さまざまな取り組みが盛んに行われるようになっている。
いったい「現場力」とは何だろうか。「現場力」の定義は、企業あるいは部門によりさまざまだが、今求められる現場力を再定義することによって、さまざまなものが見えてくる。現場力低下の原因として指摘されているのは、OJT の低下、QC のような現場発の小集団活動の低迷、2007 年問題と技術・技能伝承などである。
しかし、これらの原因を解決すれば、現場力の復元は可能なのだろうか。つまり、かつての現場力と、今求められている現場力は異なり、かつての現場力を復活させるのでは足りないというところに、今日の現場力強化の難しさがあるのではないだろうか。
今日のビジネス環境は、かつてと比べものにならないほど環境変化が激しく、グローバルな競争にさらされているといわれている。さらに、単純な拡大再生産では企業の成長が望めなくなったビジネス環境下では、トップが戦略や戦術を決定し、それを効率性をもってなぞっていくというビジネスの手法がなかなか通用しにくくなってきたことも指摘されている。
かつて、現場力といえば、トップダウンの戦略・戦術を粛々と実行し、かつ、それに即して頑張り続けることで発揮する力を指していた。
しかし、前述したような環境の変化に伴って、今求められるようになっているのは、現場が常に環境変化を察知しながら、タイムリーに戦略の軌道修正を行い、かつ実行するという自律型の変革を前提にした現場力の強さである。ここに、現場力の強化が一筋縄ではいかない難しさがある。
つまり、今、現場力という課題を考える時、実は、過去から内包されていた“現場力の中で不足し続けていた部分”が顕在化し、それと向き合わなければならない面もあるということである。
現場のリーダーシップとマネジメントが現場力アップの手がかり
こうした現場力涵養(かんよう)の新たな課題に向き合う手がかりの1つとなるものが、現場のリーダーシップや現場のマネジメントの育成である。
C-1 セッション“現場活力を引き出すリーダーの活躍”では、特に現場のリーダーシップに着目して、リコーとユニアデックスの2 社の取り組み事例の発表が行われることになっている。
リコーの発表では、「自主・自発とチーム連係をファシリテートするリコーの組織変革活動の実際」と題して、チーム単位で実践されている組織変革活動の中でのリーダーの取り組みを通して、現場の活力を高めるうえでのリーダーの役割について考えるものになっている。
一方、ユニアデックスは、ネットワークシステムの構築から運用管理、保守、周辺機器製造、回線リセール事業などを行う日本ユニシスグループのネットワークインテグレーターである。同社の取り組み事例報告は「現場力・組織力向上を支えるチームマネジメント」として、プロジェクト活動が主体となる情報システム構築における、多様な人材の束ね方についての取り組みと課題が報告される。ここで語られるのは、現場力を引き出すプロジェクトリーダーに求められる役割である。