Close up 特別企業研究 Nestle グローバルな事業展開に 対応した戦略的な 人材育成の仕組み
グローバルな事業展開を行う企業グループであるネスレ。経営方針及び経営戦略に基づいた、人事・人材開発のフレームと独自の研修システムを通じて、人材の育成と活用を行っている。その概要とともに、その見どころ、聞きどころを紹介しよう。
ネスレの企業理念・経営戦略と人事戦略、人事の役割
特別企業研究セッション(ネスレグループ)では、最初に基調講演としてネスレ日本の専務取締役、人事・広報本部統括本部長の田正澄氏により、ネスレグループの概要および企業理念・経営戦略と人事戦略、人事の役割についての発表が行われる。以下は、その概要である。
諸原則・基本戦略に基づく持続的な成長戦略
ネスレの社風を、一言でいえば、「誠実(integrity)」。ネスレグループでは、経営方針として『ネスレの経営に関する諸原則』と『ネスレマネジメント及びリーダーシップの基本原則』が明文化されている(写真)。このうち『ネスレマネジメント及びリーダーシップの基本原則』中には「企業活動の持続的な改善」がうたわれているとおり、ネスレは、イノベーションも必要であるが、日々の継続的な改善の重要性も認識している。急進的な大変革が必要な状況をつくらない、絶え間ない改善を積み重ね、着実に進化することを重視するということだ。
また、「4つの基本戦略」(持続的に収益性のある成長を遂げるための戦略)が次のように示されている。
●低コストで高効率の運営(Low Cost, Highly Efficient Operations)
● 革新と再活性化( Innovation /Renovation)
●消費者とのコミュニケーション(Consumer Communications)
●いつでも、どこでも、どんな形でも製品入手が可能(Product Availability :Whenever, Wherever, However)
こうした諸原則、基本戦略に基づいて、同グループが実現すべき企業ビジョンとして「すべてのステークホルダーから信頼される、食品・栄養・健康・ウェルネス企業」が掲げられている。
これらを踏まえてビジョン実現に向け、中期・単年度の目標が企業グループ各社で決定される。人事施策なども、その例外ではない。