HRD JAPAN 2007の活用術② 組織・人事革新企画委員会委員長 特別提言 組織の「構造変化」を正しく把握し、 人事の「これから」を探れ!
同じテーマの底に起きた構造変化を見逃すな
HRD JAPANでは、これまでさまざまなテーマが取り上げられてきた。その歴史を振り返ると、“生き残ったテーマ”と“消え去ったテーマ”が見えてくる。単純に考えると、生き残ったテーマは普遍的なもので、消え去ったテーマは一過性のものだったと言ってしまいそうになる。しかし必ずしもそうではない。現在、人事・人材開発部門および企業が抱えているテーマは、たとえ生き残ったテーマであったとしても、既存の流れとは異なる、構造的な変化を含んだものとなってきている。
たとえば「ミドル」。現在「ミドル」と呼ぶ層はかつて「部課長」と呼ばれた層とは役割が異なっている。特に現場でのミドル観は一変した。たとえば現在の課長に要求されているのは、プロジェクトリーダー的な役割である。非正社員や他社を含む関係者を巻き込み、自ら仕事を進めていくプレイングマネジャーでなければならない。今やかつての「管理職」は完全に姿を消した。部課長にじっくり部下や組織を育てる余裕はなく、自身もノルマを背負った、突撃隊長として走っている。
確かにミドルが組織の要であることは、今も昔も変わりない。しかし、このような役割の変化に目を向けず、ピラミッド型組織を念頭に置いたまま“ミドルが大事。ミドルは連結ピンでホーレンソーの中心”などと言ってみても、何ら有効な手だてを打つことはできないだろう。